美術作品には、作者自身とその環境が深い関わりをもって現れる。岩手県立美術館では、岡山市在住の東島毅(1960年佐賀県生まれ)と岩手県遠野市在住の本田健(58年山口県生まれ)を紹介し、ふたりの画家が抱えるテーマや取り巻くものを探ろうとする展覧会が開催されている。
東島は筑波大学大学院を修了。96年にVOCA賞受賞。近年は岡山県立美術館、国際芸術センター青森などで個展が開かれ、現在は京都造形芸術大学教授。本田は87年より遠野市に暮らす。独学で絵を学び、94年金山平三賞受賞、95~97年安井賞展出品、97年VOCA展出品。近年は上海、東京、岩手県内などの個展、グループ展で数多く発表を重ねてきた。
ふたりは共に、身体感覚を重視して作品を制作。「冬のみず」は東島、「山あるき」は本田の作品タイトルからの引用だ。今展では旧作から新作までを作者が自選し、その一部は屋外にも展示。ふたりは何を見て感じ、考えているのか。共通するもの・しないものを見つめ、鑑賞者自身が、みずからの問題として捉えなおすこともできる好機となる。
【会期】 2013年11月16日(土)~2014年2月16日(日)
【会場】 岩手県立美術館(盛岡市本宮字松幅12―3)☎019―658―1711
【休館】 月曜、祝日のとき翌日、12月29日~1月2日
【料金】 一般800円 高校生・学生500円 小学生・中学生300円
【関連リンク】 岩手県立美術館
開催記念トーク「わからないことの意味」
【日時】 2014年1月25日(土) 14:00~15:30
【出演】 鷲田清一(哲学者、せんだいメディアテーク館長、大谷大学教授)、東島毅、本田健
【会場】 同館ホール
【料金】 無料
「新美術新聞」2013年12月11・21日号(第1331号)1面より