江戸時代の天才絵師・葛飾北斎の娘にして、自らも絵師として活躍した葛飾応為(生没年不詳)。美人画においては父をも超える力量と評されたが、その生涯には謎が多く、手掛けた作品も世界に数点しか確認されていないことから、応為の名はいまだ一部の美術ファンに知られるにとどまっている。
今展で公開される「吉原格子先之図」は、応為による肉筆画の名品。交錯する光と影で吉原の夜の情緒を表現した本作は、モチーフの影を表現することが多くない日本絵画においてひときわ異彩を放ち、暗闇の中に浮かび上がる遊女と遊客たちの姿は、幻想的ですらある。西洋絵画の影響と繊細で豊かな感受性をうかがわせる応為の代表作だ。
その他、歌川国貞や歌川国芳、歌川広重、小林清親など、一流浮世絵師たちによる陰影表現に優れた浮世絵を特集展示。光と影が織り成す美と情緒を楽しんで欲しい。
【会期】 2014年2月1日(土)~2月26日(水)
【会場】 太田記念美術館 (東京都渋谷区神宮前1-10-10)☎03―5777-8600 アクセス
【休館】 月曜日
【開館時間】 10:30~17:30(入館は17:00まで)
【料金】 一般700円 大高生500円 中学生以下無料 団体(10名以上)は1名あたり100円割引、障害者手帳持参者とその付添者(1名)は100円割引
【関連リンク】 太田記念美術館
「新美術新聞」2014年2月11日号(第1335号)4面より