日本藝術院会員の彫刻家・市村緑郎が、さいたま市の「ギャラリーカフェ ラルゴ」にて個展を開催する。
1936年、茨城県下妻市に生まれた市村は、東京教育大学(現・筑波大学)在学中の61年に日展初入選。卒業後は日展、日彫展、白日展を中心として発表を重ねるとともに、埼玉大学や崇城大学で長年にわたり後進の指導にあたってきた。2006年の第37回日展出品作「間(かん)」で日本藝術院賞を受賞、2008年に日本藝術院会員に就任。現在は日展常務理事、日本彫刻会常務理事、白日会常任委員を務める。
作品制作のテーマは自然との共生・共創。「風のたより」と題する今展については「時代とともに変容する価値観や、移り変わる自然、人々の人生そのものを“風”という言葉に重ねた」と話す。出品数は約30点。自らの娘をモチーフに、凛とした流麗な造形が作家の深い精神性を感じさせる「わたし」や、豊かな自然の包容力が子を抱く母の姿に表された「森の詩」、時の流れの表象に東日本大震災復興への祈りを込めたという「風のたより」など、具象・抽象作品にレリーフ、デッサンなど多様な展覧となる。
「制作こそが、自分が今生きている証になるのでは」と市村は言う。50年以上にわたり、弛まず、実直に制作を続けてきた彫刻家。その円熟した表現世界を堪能してほしい。
【会期】 2014年2月4日(水)~3月29日(土)
【会場】 ギャラリーカフェ ラルゴ (さいたま市中央区鈴谷2‐725‐1ソレイユ南与野1階)☎048-749-1721
【休廊】 日曜、月曜
【開廊時間】 10:00~19:00(最終日のみ16:00まで)
【料金】 無料
「新美術新聞」2014年2月11日号(第1335号)1面より