季節のうつろいを抒情豊かな作品とし、日展を主な発表の場に活躍する日本画家・木村光宏(1947年長野市生まれ、日展会員)。制作の拠点を構える名古屋の古川美術館において、初の回顧展が開催される。
木村は、高校生まで自然豊かな長野で暮らし、大学進学を機に名古屋へ移った。友人の油絵を描く姿に刺激を受け、独学から作品制作を開始。名古屋在住であった画家・大嶽智宏に師事することで、本格的に日本画家を志すようになっていった。80年に日展初入選。師・大嶽の薦めから、82年には京都の日本画画塾「東丘社」へ入塾。名古屋から京都へ通い、研鑽を積んだ。とくに大きな影響を受けたのは、文化功労者の故・岩澤重夫。85年には「ピエロ」で日展の特選を受賞し、着実に評価を高めていった。
今展では初期から近作まで重要作品を網羅。回顧展ならではの多彩な作品群により、画題の変遷をたどることができる。メキシコとの出会い、群像人物から風景画への転換、新たなテーマ・サウジアラビア、そして2000年頃から精力的に描くようになる「国立公園シリーズ」と、ターニングポイントの作品が一堂に会す。また、下絵やスケッチ、陶芸作品も展示され、幅広い表現世界を楽しむことができるだろう。
さらなる飛躍を期待される実力派の日本画家・木村光宏。迫力ある大画面の作品と対峙し、画業の全貌に触れてほしい。
【会期】 2014年3月15日(土)~5月11日(日)
【会場】 古川美術館(名古屋市千種区池下町2-50)☎052-763-1991
【休館】 月曜、5月7日(水)、ただし5月5日(月)開館
【開館時間】 10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
【料金】 大人1000円 高・大学生500円 小・中学生300円(分館 爲三郎記念館特別展「西中千人ガラス展」との共通券)
【関連リンク】 古川美術館
木村光宏ギャラリートーク
【日時】 3月15日(土)、4月9日(水)・29日(火・祝) 各日14:00~
【会場】 古川美術館1階、2階展示室
【料金】 無料(要入館券)
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