江戸時代、鎖国下にありながら日本には様々な舶来品がもたらされた。とくに西洋との主なかけ橋となったオランダ船による美しい品々は、当時の日本人の心を強くつかんだに違いない。その感動は、同じ頃にヨーロッパより伝わった万華鏡をのぞくような心地だったのではないだろうか。
「江戸の異国万華鏡」と名付けられた今展は、様々な舶来品の中でも特にオランダ東インド会社によって輸入されたインド更紗、「びいどろ」と呼ばれたヨーロッパガラス、「阿蘭陀」と呼ばれたデルフト焼を中心とする陶器を紹介する。それらはどのように愛され、受容されたのか。数百年の時を経て今に伝わる、様々な姿より概観する。
展示構成は、「異国への架け橋―オランダ」「更紗をめでる」「更紗をまとう」「更紗でかざる」「更紗万華鏡」「茶の湯の中の異国」「びいどろ―洋から和へ」「阿蘭陀と阿蘭陀写」の8章。
長崎・出島への出入りを許され、シーボルトの専用絵師ともなった川原慶賀(1786~1860)によるオランダ船の入港風景や、乾山の唐物写など、貴重な作品が多数展示される。その美しさや創意を楽しむとともに、外来文化を自らの文化に取り入れてきた、日本人の美意識と技術を堪能することができるだろう。
【会期】 2014年3月15日(土)~6月8日(日)
【会場】 MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300)☎0748―82―3411
【休館】 月曜、5月7日、ただし5月5日開館
【開館時間】10:00~17:00(入館は16:00まで)
【料金】 一般1100円 高・大生800円 小・中生300円
【関連リンク】 MIHO MUSEUM
学術講演会「茶の湯の中の異国趣味」(仮称)
【日時】 2014年5月18日(日) 14:00~
【講師】 熊倉功夫(静岡文化芸術大学学長)
【会場】 同館・南レクチャーホール ※当日先着100名
「新美術新聞」2014年4月1日号(第1340号)1面より