2011年3月11日に発生した東日本大震災。東京国立近代美術館では発生直後の5月に特集「東北を想う」を、そして翌12年の1月に「特集 東北を思う―記憶・再生・芸術」を開催してきた。そして今年、震災から3年が経過し三度目となる特集展示として「地震のあとで―東北を思うⅢ」を開催。地震と津波と福島第一原子力発電所事故の後に、アーティストたちがどのように動き、どのように被災地に寄り添ってきたかを3組の作品によって明らかにする。
今展で展示されるのは2013年度に新収蔵されたChim↑Pomと藤井光の作品。それぞれアーティストならではの姿勢によって報道では表れない東北の姿を浮かび上がらせている。またChim↑Pomについてはアートコレクター・宮津大輔氏による寄託作品である「REAL TIMES」も展示。同作は震災発生から1カ月後の2011年4月11日、警戒区域に入り込み、福島第一原発から約700メートルにある東京電力敷地内展望台に登頂。そこで白旗に赤いスプレーで日の丸を描き、それを放射能マークへと改変した旗を掲げるまでの一連の行動を記録したものだ。
さらに今回は写真家・宮本隆司による「3.11 TSUNAMI 2011」も展覧。同作は岩手県釜石市の住民が撮影した津波の映像をベースとし、そこに、宮本が後日行った撮影者へのインタビュー映像を加えたもの。宮本と被災者との「共同作業」による、津波の伝達だと言える。それぞれ震災以降に生み出された作品は何を映し、何を伝えているのか。3年が経った今、改めて震災と向き合う。
展示作品一覧
◇藤井光
「沿岸部風景記録 福島県飯舘村 2012年8月」 2012年 ヴィデオ (カラー、サウンド 12分47秒) 東京国立近代美術館所蔵
「プロジェクトFUKUSHIMA!」 2012年 ヴィデオ (カラー、サウンド 17分(オリジナルは90分)) 東京国立近代美術館所蔵
◇宮本隆司
「3.11 TSUNAMI 2011」 2011年 ヴィデオ (カラー、サウンド)
瀬戸元+宮本隆司 岩手県釜石市両石 34分10秒
池田盛子+宮本隆司 岩手県釜石市唐丹町荒川 30分56秒
小林兼三郎+宮本隆司 岩手県釜石市箱崎町仮宿 27分2秒
作家蔵
◇Chim↑Pom
「REAL TIMES」 2011年 ヴィデオ (カラー、サウンド 11分11秒) 寄託(宮津大輔氏蔵)
「気合い100連発」 2011年 ヴィデオ (カラー、サウンド 10分30秒) 東京国立近代美術館所蔵
「BLACK OF DEATH 2013」 2013年 ヴィデオ (カラー、サウンド 8分53秒) 東京国立近代美術館所蔵
【会期】 4月15日(火)~6月1日(日)
【会場】 東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1) ☎03-5777-8600(ハローダイヤル)
【休館】 月曜(5月5日は開館)、5月7日(水)
【開館時間】 10:00~17:00、金曜は20:00まで (入館は閉館30分前まで)
【料金】 所蔵作品展「MOMATコレクション」一般430円 大学生130円 ※同時開催「映画をめぐる美術」展(4月22日~)観覧券がある場合、当日に限り所蔵作品展も観覧可。
【関連リンク】 東京国立近代美術館