【日本橋】 JIZAI 満田晴穂 自在置物展

2014年06月19日 21:33 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

 

江戸の甲冑師の一族が生み出した、生物を関節の動きまでをも忠実に再現した金属工芸「自在置物」。自在置物師・満田晴穂(1980年鳥取県生まれ、東京芸術大学大学院修了)は、現代において失われつつあったその技を用い、昆虫を主なモチーフとした作品を制作する。

 

現在、日本橋三越で開催中の個展「JIZAI 満田晴穂 自在置物展」では約20点が展示されている。実物と見紛うかのような見た目の完成度はもちろん、関節や羽、顎など実物と同じように動かすことが出来る細かな意匠はまさに“職人”の技。今回は、カマキリやクワガタ、ハチなどよく知られた昆虫とともに大ムカデや帝大蚊(ミカドカガンボ)、提琴虫(バイオリンムシ)など珍しい虫も見られ、いわゆる「虫好き」にとっても興味をそそられる内容となっている。工芸とはいえ「用の美」ではないので評価が難しいとされる自在置物だが、観る者を夢中にさせる確かな魅力を感じさせてくれるだろう。

 

自在置物師・満田晴穂。今回は三越で3度目の個展。

 

長い触角が特徴的な「髭長髪切」の自在置物。すべての作品が実寸大で制作されている。

 

満田が「今回の中で一番うまくいった」と語ったのが「自在深山鍬形<雄・雌>」の雌。その見た目の質感や細かなフォルムへのこだわりにも注目してほしい。

 

「自在帝大蚊」は、本州では見ることのできない「帝大蚊(ミカドカガンボ)」をモチーフとした。制作には北海道の研究者が協力をしてくれたそう。

 

日本には生息していない「提琴虫(バイオリン虫)」の自在置物。海外の昆虫の自在置物を発表するのは今展が初となる。

日本には生息していない「提琴虫(バイオリン虫)」をモチーフとした作品。海外の昆虫の自在置物を発表するのは今展が初となる。

 

「自在腹広蟷螂<雄>」。今展のヴィジュアルにも使用されたカマキリの自在置物。絶妙な鋲の締め加減によって全ての作品が自立する。足の造形をそのまま再現するだけでこうなる訳でないのは言わずもがな。

 

満田にとって制作は「どれだけ姿を精緻に再現出来るかというモチーフとの“闘い”」だ。自らに妥協を許さず、ひたすらに技を研いで作り上げた金属の昆虫たち。そのひとつひとつの作品が感じさせる「自在置物」への強いこだわりをぜひ楽しんでほしい。

 

【会期】 2014年6月18日(水)~24日(火)

【会場】 日本橋三越本店本館 6階美術サロン (東京都中央区日本橋室町1-4-1)

☎03―3241-3311

【休廊】 会期中無休

【開廊時間】 10:00~19:00(最終日のみ16:00まで)

【料金】 無料

 

【関連リンク】 満田晴穂と自在置物標本箱

【関連ページ】 フェイス21世紀:満田晴穂

 


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