江戸の甲冑師の一族が生み出した、生物を関節の動きまでをも忠実に再現した金属工芸「自在置物」。自在置物師・満田晴穂(1980年鳥取県生まれ、東京芸術大学大学院修了)は、現代において失われつつあったその技を用い、昆虫を主なモチーフとした作品を制作する。
現在、日本橋三越で開催中の個展「JIZAI 満田晴穂 自在置物展」では約20点が展示されている。実物と見紛うかのような見た目の完成度はもちろん、関節や羽、顎など実物と同じように動かすことが出来る細かな意匠はまさに“職人”の技。今回は、カマキリやクワガタ、ハチなどよく知られた昆虫とともに大ムカデや帝大蚊(ミカドカガンボ)、提琴虫(バイオリンムシ)など珍しい虫も見られ、いわゆる「虫好き」にとっても興味をそそられる内容となっている。工芸とはいえ「用の美」ではないので評価が難しいとされる自在置物だが、観る者を夢中にさせる確かな魅力を感じさせてくれるだろう。
満田にとって制作は「どれだけ姿を精緻に再現出来るかというモチーフとの“闘い”」だ。自らに妥協を許さず、ひたすらに技を研いで作り上げた金属の昆虫たち。そのひとつひとつの作品が感じさせる「自在置物」への強いこだわりをぜひ楽しんでほしい。
【会期】 2014年6月18日(水)~24日(火)
【会場】 日本橋三越本店本館 6階美術サロン (東京都中央区日本橋室町1-4-1)
☎03―3241-3311
【休廊】 会期中無休
【開廊時間】 10:00~19:00(最終日のみ16:00まで)
【料金】 無料
【関連リンク】 満田晴穂と自在置物標本箱
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