「80年代」の彫刻/立体/インスタレーションを再考
「インスタレーションの氾濫」と「彫刻の復権」が同時に語られていた「80年代」。その彫刻、立体、インスタレーションを再考するために企画された展覧会が京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブで開催される。
とりわけ関西においては、「関西ニューウェーブ」などの若手を中心とする作家の活躍が取りあげられることの多い「80 年代」だが、今展はそれとは異なる動向に焦点を定め、上前智祐、笹岡敬、椎原保、殿敷侃、福岡道雄、宮﨑豊治、八木正の7作家を紹介。断片的に語られてきた彼らの創造性をつなぎとめる係留点をつくりあげることで、「80年代」を再考する一契機になるとともに、それぞれの作家の実践を現在と結びつける場を目指す。資料展示を含む約37点が展覧される。
1980年代、オールオーバーで装飾的なインスタレーション、レリーフ的な絵画、あるいは絵画/彫刻の復権といった動向とは一線を画しつつも、しかし緩やかなる同時代性を帯びた作家たちの実践があった。建畠晢は彼らの一部を「時代の状況から鋭く孤立したところにそれぞれの拠点を定めた作家」と呼んだが、「関西ニューウェーブ」が席巻し、すべてが「インスタレーション」として呼びならわされていくその過程において、彼らはどのように自らの作品と向き合ってきたのだろうか。そこにはただ60年代や70年代との切断や急激な転換の痕だけが刻まれているわけではないはずである。
「ひとつの島が無人島でなくなるためには、なるほど、単に人が住むだけでは足りない。」―ジル・ドゥルーズが残した奇妙なテクストが私たちにヒントを与えてくれる。他者なきそれぞれの拠点=無人島において、本展の作家たちは自身の日常を信じつつも反転させ、制作を行ってきた。彼らの実践は、無人島になり続けようとする不断の過程なのかもしれないが、その創造性は、これまでの80年代美術のイメージに修正を促すものだ。 (コンセプトより)
【会期】9月26日(金)~10月19日(日)
【会場】京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ(京都市左京区北白川2-116) TEL 075-791-9122
【休館】会期中無休
【開場】11:00~19:00
【料金】無料
【関連リンク】京都造形芸術大学
■トークイベント
【日時】10月11日(土)
【会場】ギャルリ・オーブ
【進行】長谷川新(同展キュレーター)
【登壇】14:30-16:00 福岡道雄、宮﨑豊治、石崎尚(愛知県立美術館学芸員)
16:30-18:00 笹岡敬、椎原保ほか
※予約不要、定員80名