私たちの自然観を問う
2006年以来毎年、様々な企画展を実践している多摩美術大学芸術学部の展覧会設計ゼミが「たゆたう自然 floating nature」を開催する。アドバイザーは総合アドバイザー・長谷川祐子(多摩美術大学美術学部芸術学科教授/東京都現代美術館チーフキュレーター)、企画アドバイザー・難波祐子(キュレーター/多摩美術大学美術学部芸術学科非常勤講師)、空間アドバイザー・岡田公彦(建築家/岡田公彦建築設計事務所)の3氏。
今展のテーマとなるのは様々な捉え方ができる「自然」。人以外の視点を取り入れその存在や世界を示唆したり、自然の中で体験した感覚や発見を表現する、阿部未奈子、伊藤存、大西景太、狩野哲郎を紹介する。さまざまな視点から自然を捉え表現した作品と出会うことで、私たちが持つ自然観を改めて考えるきっかけとなるかもしれない。
■出展作家
阿部未奈子
1974年 千葉県生まれ。東京藝術大学大学院修了。実在する風景の写真にゆらぎなどのデジタル加工を施し、細部を省略、さらに季節感などシンボリックな表現も避けることで固有性を希薄にした風景は、鑑賞者の記憶の中の風景とも重なり、新しい風景として私たちの前に現れる。独特のゆらぎはマスキングテープとローラーを用いた手法で描かれる。最近の展覧会に「project N 51」(2013年、東京オペラシティ アートギャラリー)、「VOCA展2014」(2014年、上野の森美術館)など。
伊藤存
1971年 大阪府生まれ。京都市立芸術大学美術学部卒業。動植物や人などをモチーフに、おもに刺繍作品を制作。「縫って描く」独自のアプローチで、具体的に見えているもの、当然だと思っていることの多様性を模索している。縫い付けられた糸は複雑に交じり合い、隆起したり途切れたりしながら、私たちの意識に入り込んでくる。近年は昆虫などの生物をフィールドワーク的に取材し、刺繍作品に展開するシリーズを制作。2006年に「作品集的刺繍入門書」として著書『NEW TOWN』を刊行した。
大西景太
1980年神奈川県生まれ。2006年東京藝術大学大学院修了。”映像と音楽が共存する表現のあり方”をテーマに、映像と音楽のシンクロを独自に追求している作家。出展作品「Forest and Trees」は空間内に複数のデジタルフォトフレームを配置し、全てを同時再生させることで成立する映像インスタレーション作品である。本作品は私たちの視覚と聴覚を刺激するとともに、まるで森の中に迷い込んだかのような感覚を与えてくれる。
狩野哲郎
1980年宮城県生まれ。2007年東京造形大学院修了。人間によってコントロールしきれない世界のあり方や人間以外の第三者の視点や存在をさりげなく提示する。園芸用品や鳥よけ、陶器やガラス容器といった日常的な既製品と、果実や枝、ときに生きた鳥などの自然物を組み合わせたサイトスペシフィックなインスタレーション、シールやマスキングテープを用いたコラージュ技法によるドローイングなどの制作に取り組んでいる。
【会期】10月11日(土)~20日(月)
【会場】Gallery W(東京都文京区白山2-14-18-2F) TEL 03-6240-0790
【休廊】無休
【開廊】11:00~19:00
【料金】無料
【関連リンク】多摩美術大学芸術学部展覧会設計ゼミ
■オープニングイベント
【日時】10月11日(土) 18:00~20:00
【会場】Walls Tokyo(展覧会会場1階)
【出演】阿部未奈子、大西景太、狩野哲郎、長谷川祐子
※予約・参加費不要