「一過性の世界」の構造に向けられた思考を読み解く
「もの派」の代表的な作家として、近年国際的に注目を集めている菅木志雄。その大型個展がヴァンジ彫刻庭園美術館で開催される。
菅は1944年、岩手県盛岡市生まれ。64年に多摩美術大学絵画科入学、斎藤義重教室で学び、68年卒業。在学中の67年にシェル美術賞展で第一席に入選した菅は、自然物や建材を仮設的に配置する独自の制作手法によって、未加工の物質を作品として提示し当時「もの派」と呼ばれた作家の1人として注目を浴びた。また作品制作と並行して、多くのパフォーマンス(2004年にすべてのパフォーマンスを「アクティヴェイション」に改称)や執筆による批評行為を今日まで継続して実践、さらに小説の執筆、映画製作などその活動は多岐にわたる。
今展では78年の第38回ヴェネツィア・ビエンナーレや97年~98年にかけて国内の複数の美術館を巡回した個展での作品など、70年代以降の各時代に制作された作品を展示。会場の広大な展示空間を活かした大型のインスタレーション作品が再制作される。
また菅は68年から野外で木や石など自然物を用い作品を制作、「野点(のてん)」と称して一時的な作品を発表、または写真で記録してきた。今展では屋外の会場や庭園の空間を利用し、写真でしか見ることが出来なかった70年代の作品を発表、仮設的な作品の変化を体験する事ができる。
さらに「アクティヴェイション」の映像資料やこれまでの批評などの資料展示とあわせ、会期中にアーティストトークや批評家、研究者を招いたトークイベントを実施。独自の制作概念を展示とイベントを通して検証する。
【会期】11月2日(日)~2015年3月24日(火)
【会場】ヴァンジ彫刻庭園美術館(静岡県長泉町東野クレマチスの丘(スルガ平)347‐1) TEL 055-989-8787
【休館】水曜、祝日のとき翌日(12月24日(水)は開館)、12月26日(金)~1月7日(水)
【開館】10:00~16:30(11月~1月)、10:00~17:00(2月~3月) (入館は閉館30分前まで)
【料金】一般1000円 高校・大学生500円 中学生以下無料
【関連リンク】ヴァンジ彫刻庭園美術館
■アクティヴェイション+アーティストトーク
2009年以来5年ぶりとなる「アクティヴェイション」が実施される。
【日時】11月2日(日) 15:00~16:30
【会場】クレマチスの丘 アカデミーフォーラム
※申込不要、要観覧券
■トークイベント1 菅木志雄と周縁―1970年前後の美術
【日時】2015年1月18日(日) 14:00~15:30
【会場】ヴァンジ彫刻庭園美術館 展示棟
【出演】粟田大輔(美術批評家)、成相肇(東京ステーションギャラリー学芸員)、森啓輔(ヴァンジ彫刻庭園美術館学芸員)
【定員】100名(全席自由・要予約)
【料金】入館料のみ
【予約方法】電話にて申し込みのこと。(TEL 055-989-8785)
■トークイベント2 菅木志雄と「もの派」の現在
海外での「もの派」展の開催など国際的な評価が高まる今、「もの派」を現代的な視点から読み解きながら菅の作品の意義を考察していく。
【日時】2015年3月8日(日)14:00~15:30
【会場】ヴァンジ彫刻庭園美術館 展示棟
【出演】千葉成夫(美術評論家、中部大学教授)・中井康之(国立国際美術館主任研究員)・森啓輔(ヴァンジ彫刻庭園美術館学芸員)
【定員】100名(全席自由・要予約)
【料金】入館料のみ
【予約方法】電話にて申し込みのこと。(TEL 055-989-8785)