「音楽」と「美術」の「あいだ」にあるものとは
即興音楽からポピュラー音楽、さらに映画やテレビの劇伴音楽まで、幅広い音楽の領域で活動する音楽家・大友良英。映画や即興音楽からポピュラー音楽、さらに映画やテレビの劇伴音楽まで幅広い音楽の領域で活動する一方、美術館やギャラリーなどでの展覧会への参加やインスタレーション作品の制作など美術の領域での発表も数多く行なっている。今展は2008年に山口情報芸術センター[YCAM]で委嘱制作された作品《quartets》と、本展のための新作サウンド・インスタレーション《guitar solos 1》で構成される。
今展のテーマは「音楽と美術のあいだ」。異なるプラットフォームで成立している2つの分野には作り手と受け手の関係、作品の流通、作品の提示方法などそれぞれの場面でさまざまな相違がある。そのなかで、1960年代以降音楽と美術が相互に介入し合うような表現が多くみられるようになり、そこで生まれた表現は「インターメディア」、「パフォーマンス」、「サウンド・アート」などと呼ばれてきた。
その後さまざまなメディアを利用できる環境が整うことによって、メディア・アートや「領域横断的」と称される各種表現が生まれる。こうした表現は従来の芸術ジャンルの定義や解釈を拡げたと同時に、それらのあいだにあった境界線をあいまいにし、その中で大友のように「音楽と美術のあいだ」で活動するアーティストの表現が可能となってきた。
今展ではいまいちど「音楽」と「美術」という異なる表現の相違に目を向け、それらの「あいだ」にあるものとはなにかを複数のインスタレーションとさまざまなイヴェントによって考える。
■展示作品①
《quartets》2008年(YCAM委嘱作品)
展示室中央に設置された白いキューブの各側面にミュージシャンのシルエットが投影され、キューブの内部からはミュージシャンたちによる演奏音が聞こえてくる。このシルエットと演奏音は8名のミュージシャンが個別に即興演奏を行なった様子を事前に記録したもの。各シークエンスの時間的な配置がコンピュータ・プログラムによって制御されることで、相互に干渉し、にじみあうようなアンサンブルが絶えず生み出されます。またキューブの各側面と正対する展示室の壁面にはスクリーンが設置され、木、鉄、液体などで作られたオブジェのディテールが映し出される。これらの物質の映像は、キューブに投影されたミュージシャンの演奏に合わせて振動/流動していく。鑑賞者はキューブの4面、さらにそれを取り囲む壁面を同時にすべて見ることはできないため、すべての演奏者の音を同時に聴くことはできても、全貌を見渡すことはできないしくみとなっている。
制作者
大友良英+木村友紀+ベネディクト・ドリュー+平川紀道+石川高+一楽儀光+ジム・オルーク+カヒミ・カリィ+Sachiko M+アクセル・ドゥナー+マーティン・ブランドルマイヤー
共同開発:YCAM InterLab
■展示作品②
《guitar solos 1》2014年 ※今展のための新作
ギャラリーAに通じる階段で展開されるサウンド・インスタレーション。8対のスピーカーが階段の両側に設置され、それぞれのスピーカーからは事前に録音された大友演奏によるギターの音がランダムに再生されるが、全体を一度に聴くことはできない。通りすぎたり、立ち止まったり、または階段を上り下りしながら作品を鑑賞する。
【会期】11月22日(土)~2015年2月22日(日)
【会場】NTTインターコミュニケーション・センター[ICC](東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階) TEL 0120-144199
【休館】月曜、ただし祝日のとき翌日、年末年始(12月29日~1月5日)、2月8日
【開館】11:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
【料金】一般・大学生500円 高校生以下無料
【関連リンク】NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
■オープニング・トーク1
【日時】11月22日(土) 14:00~
【会場】ICC 4階 特設会場
【出演】大友良英×畠中実(ICC)
【定員】250名(当日先着順)
【料金】無料
■オープニング・トーク2
【日時】11月23日(日) 14:00~
【会場】ICC 4階 特設会場
【出演】大友良英、Sachiko M、毛利悠子、薮前知子(東京都現代美術館学芸員)
【司会】畠中実(ICC)
【定員】250名(当日先着順)
【料金】無料
■コンサート&トーク
【日時】12月23日(火・祝) 19:00~
【出演】大友良英 ほか
■大友良英コンサート
【日時】2015年2月20日(金) 19:00~
【出演】大友良英