天下三名槍の一つ、本多忠勝愛用の蜻蛉切がついに ――
静岡県沼津出身の実業家・矢部利雄氏(1905~1996)が、一代で築き上げた珠玉のコレクションを紹介する展覧会。コレクションの中核を担う国宝1点、重要文化財2件を含む刀剣・刀装具をはじめ、漆工、金工、絵画、陶芸など、多彩な約100件を一堂に展観する。
なかでも、徳川四天王の一人として名高い武将・本多平八郎忠勝が愛用したとされる天下三名槍の一つ「蜻蛉切」は久々の公開。号の由来である、飛んできた蜻蛉が槍の穂先に触れて真二つになったという伝説とともに広く知られる名品を、目の当たりに出来る貴重な機会だ。
その他にも、織田信長が長篠の戦いでの功を賞して奥平信昌に与えた一文字の太刀や、尾形乾山、北大路魯山人の皿、根来塗と呼ばれる漆工など、いずれのジャンルにも、それぞれの時代の佇まいを伝える優品が並ぶ。
矢部氏は、熱心に家業を営み、茶道や刀剣を通して地元のコレクターと交流を深める一方で、沼津御用邸や千本松原の別荘地を訪れる東京の文化人と親しく交わり、自らの美意識を磨いた。多数の「ひと」と「もの」が結んだ縁で成された、幅広いコレクションをぜひ楽しんでほしい。
【会期】2015年1月9日(金)~2月15日(日)
【会場】佐野美術館(静岡県三島市中田町1-43)TEL055-975-7278
【休館】木曜
【開館】10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
【料金】一般・大学生1,000円 小・中・高校生500円
※毎週土曜日は小中学生無料
■講演会「矢部コレクションと日本刀」
【日時】 2015年1月31日(土) 14:00~16:00
【講師】 渡邉妙子(佐野美術館館長)
※講演会後に渡邉館長の『日本刀の教科書』出版記念サイン会を予定
【関連リンク】佐野美術館