束芋 息花
アニメーションを用いた映像インスタレーション作品「にっぽんの台所」(1999年)で一躍注目を集め、以降、国内外で活躍を続ける束芋の新作個展「束芋 息花」がギャラリー小柳で開催される。
束芋は1975年生まれ。2001年に最年少で「横浜トリエンナーレ2001」に招聘され、2011年にはヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家として選出等、着実にキャリアを積んでいる。また近年は、杉本博司脚本・演出の人形浄瑠璃『曾根崎心中』へのアニメーション参画をはじめ、現代舞踏や伝統芸能とのコラボレーションやバンド活動など、さまざまなジャンルでその才能を発揮している。
今展で発表されるのは新作アニメーション作品「あいたいせいじょせい」と、新作ドローイング。
「あいたいせいじょせい」は束芋による造語であり、大正年間に「相対性理論」という言葉が訳された折「相対(あいたい)」が男女の仲を意味し、しかも「性」の文字がついたことから世間の誤解を招いたことや、「相対死に」という心中を連想させたという話から着想を得、「相対性」の中にいる女性2人という意味で「相対性女性」という言葉を創作。「相対」を、(相対死に)や(会いたい)という意味も含ませたいと、すべて平仮名としている。同作は近松門左衛門作『曾根崎心中』の主人公「お初」と「徳兵衛」、そして吉田修一の小説『悪人』の登場人物「金子美保」と「清水祐一」等の恋愛にちなみ、「お初」と「金子美保」との比較の中で生まれてくるストーリー。
またドローイング作品シリーズ「flow-wer」は、人体の一部と花とが墨と蜜蝋着色で描かれたもの。ドローイングで描かれる花と人体内臓のモチーフも、アニメーションで描かれる「お初/金子美保」と「徳兵衛/清水祐一」のモチーフであるソファとテーブルも、見えているのは容器のみ、つまり切り取られた花であり、臓器の一部であり、家具という「器」のみが、切り取られた時間の中で描かれる。
【会期】2015年2月14日(土)~4月4日(土)
【会場】ギャラリー小柳(東京都中央区銀座1-7-5小柳ビル8F) TEL 03-3561-1896
【休廊】日・月曜・祝日
【開廊】11:00~19:00
【料金】無料
【関連リンク】ギャラリー小柳
■オープニングレセプション ※作家来廊
【日時】2月14日(土) 18:00~20:00