【青森県立美術館】成田亨 美術 / 特撮 / 怪獣

2015年04月15日 17:40 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

“時代”に抗った孤高の天才芸術家、その「軌跡」と「閃光」

 

《真実と正義と美の化身》1983年 油彩・キャンバス 個人蔵

《真実と正義と美の化身》1983年 油彩・キャンバス 個人蔵

 

ウルトラ怪獣のデザイン画などで広く知られる、青森ゆかりの美術家・特撮美術監督・成田亨(1929~2002)の全貌を紹介する大規模回顧展が青森県立美術館で開かれている。富山県立近代美術館、福岡市美術館の2館で先行開館され、世代を越えて多数の来場者を記録したが、今展は出身地青森においての巡回里帰り展となる。

 

展示はテーマごとに構成。成田といえば「ウルトラ」のイメージが強くあるが、必ずしもそうではない。成田が美術家として活動を始めた初期の絵画、彫刻のコーナー。新制作展に出品していた初期の彫刻作品などをみると人体のフォルム、ひねりの動きなどには後の「ウルトラ」の形象につながるものがありそうだ。さらに「ネクストマスク」(1992~95)などには、抽象彫刻のブランクーシからの影響、創作のヒントの可能性を感じる。

 

未発表怪獣(1984~87頃)のデザイン原画、実現しなかった企画案などの展示構成も成田亨ファンにとっては見逃せない展示だ。成田が手掛けた映画『麻雀放浪記』のオープニングセットなども再現されているが、戦後の荒廃した中から蠢きだす雰囲気のエネルギーが感じられるのもまた興味深い。会場を巡ると、ホワイトキューブの印象があったが、もう一つの特長である土の壁面感覚が異次元に誘うようでもある。

今展では、青森県立美術館が所蔵するウルトラ関係の187点をはじめ、未公開の怪獣デザイン原画、手元に遺した絵画、彫刻など総点数700点で、非凡なる才能を秘めた芸術家の知られざる全貌に迫る。

 

《エキゾスカウト発進》1980年代 アクリル・紙 個人蔵

《エキゾスカウト発進》1980年代 アクリル・紙 個人蔵

 

「成田享展」会場風景から

「成田享展」会場風景から

【会期】2015年4月11日(土)~5月31日(日)

【会場】青森県立美術館(青森県青森市大字安田字近野185) TEL017-783-3000

【休館】5月11日(月)

【開館】9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)

【料金】一般1,200円 高大生800円 小中生200円

【関連リンク】青森県立美術館

 

■記念講演会

①【日時】4月25日(土) 14:00~15:30(開場13:30)

【登壇】村上隆(アーティスト) 

②【日時】5月9日(土) 14:00~15:30(開場13:30)

【登壇】椹木野衣(美術批評家、多摩美術大学教授)

 

【会場】青森県立美術館シアター

【料金】無料(ただし成田展チケットまたは半券が必要)

【定員】200名

※事前申込不要

 


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