「要白の美」の集大成 60件を神戸市に寄贈
日本藝術院会員で日展理事、かな書の第一人者である井茂圭洞(いしげ・けいどう)が、代表作60件を地元の神戸市に寄贈した。それを受け、収蔵先となる神戸市立博物館にて受贈記念展が開催される。
「日展作品を中心に、気に入った作品を60件納めさせていただきました。既にある師・深山龍洞先生のお作品と共に収蔵されることになり、大変光栄です」と寄贈への思いを述べた。
井茂は、1936年兵庫県神戸市生まれ。兵庫高校書道部で深山龍洞の指導を受け、書家へと道を定める。京都学芸大美術科書道(現・京都教育大)に進学後、深山龍洞に師事。61年同大を卒業、同年日展初入選。77、79年日展特選。93年日展会員賞。2001年日展内閣総理大臣賞。03年日本藝術院賞。12年日本藝術院会員に就任。現在、日本藝術院会員、日展理事、読売書法会最高顧問、日本書芸院最高顧問、京都教育大名誉教授、全日本書道連盟名誉顧問、一東書道会会長など数々の要職を兼ねる。
今回の受贈記念展は60件の内、61年日展初入選作から70年代後半の日展特選作2点、93年日展会員賞受賞作を含めた2013年までの14件で構成される。節目を飾る日展出品作を主に、半世紀間の変遷が窺える展示となっている。
「井茂氏の書はひとつの様式に留まることがありませんでした。線の屈曲で空間を流動的に把握した作品、全体の構成と調和を意識した『大字かな』の作品、文字のズームアップで始めて、線の強弱と筆触の個性をぶつかり合わせた作品など、多彩に展開させた構成力がみどころです」と同博物館担当学芸員の辻智美氏は解説する。
井茂はかな書制作の基本として、「至簡の美」「流麗の美」「切断(間)の美」「墨法の美」「余情の美」の5つの理念を説く。そして書の特質である「一回性」と「要白美」を考慮し、気韻生動の美を表現するよう運筆法、用筆法の工夫を唱えてきた。
また一方、「日本の書道文化―中でも仮名書道を―」を提唱し、昨春発足した「日本書道ユネスコ登録推進協議会」の副会長を務める。日本独自の文化であるかな文字の〝豊潤にして温かく雅な世界〟がもつ魅力と共に日本書道全般の芸術性を国内外にアピールし、未来への継承や伝統文化の保持・普及のため、身を尽くして登録を推進している。
【会期】2016年4月9日(土)~5月8日(日)
【会場】神戸市立博物館・ギャラリー(神戸市中央区京町24)
【TEL】078-391-0035
【休館】月曜
【料金】特別展「我が名は鶴亭―若冲、大雅も憧れた花鳥画!?」の入場券(一般1100円)が必要
【関連リンク】神戸市立博物館、日本書道ユネスコ登録推進協議会
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