写真家・志賀理江子の5年振りの個展「ブラインドデート」が、香川・丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で9月3日まで開催されている。
志賀は1980年愛知県生まれ。ロンドンやオーストラリアでの制作を経て、2008年から宮城県名取市北釜に移住。地域の祭事などの様子を写すとともに、オーラルヒストリーの作成にも取り組み続けている。同じく2008年、写真集『Lilly』『CANARY』で第33回木村伊兵衛写真賞を受賞。2012年にはせんだいメディアテークで「志賀理江子 螺旋海岸」展を開催し、被写体と北釜の地に潜むイメージを闇のなかからえぐり出すような写真群で、大きな反響を呼んだ。
今展の軸となるのは、2009年にタイのバンコクで恋人たちを撮影した「ブラインドデート」シリーズ。現地でバイクタクシーに乗っている際、同じように後部座席に座る人たちと何度も視線が合い、「不思議な見つめ合いの感覚」を味わったことが撮影のきっかけだったという。「弔い」「人間の始まり」「大きな資本」「死」などをテーマに、現地で全盲のカップルと出会った経験も踏まえながら、「肉眼で見えぬもの(=ブラインド)」の本質を探る。会場には写真プリントのほか、約20台のスライドプロジェクターによって構成されたインスタレーションも。プロジェクターの点滅は、「生」「暗闇と光」などこの世界に相反しながら同時に存在するものごとの隠喩でもある。
同館2階の美術図書室では、志賀の制作スタジオ「スタジオ・パーラー」の本棚より、世界中から集められた書籍の数々を配架。そのほか会期中には、志賀理江子が聞き手となり、選書の中から、飴屋法水ら執筆者を迎えてのリレートークが行われる。
【展覧会】志賀理江子展 ブラインドデート
【会期】2017年6月10日(土)~9月3日(日)
【会場】丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川県丸亀市浜町80-1)
【TEL】0877-24-7755
【休館】会期中無休
【開館】10:00~18:00(入館は17:30まで)
【料金】一般950円 大学生650円 高校生以下または18歳未満・丸亀市内在住の65歳以上・各種障害者手帳持参者は無料 ※8月19日(土)、20日(日)は観覧無料
【関連リンク】丸亀市猪熊弦一郎現代美術館