発光ダイオード(LED)のデジタルカウンターを用いた作品で、世界のアートシーンにその名を轟かせた宮島達男(1957年東京都生まれ)。サンフランシスコ近代美術館、テートモダン、カルティエ財団など、その作品は国内外の美術館や企業コレクションに収蔵され、21世紀に おける日本の現代美術を代表する1人として、常に注目を集め続ける。
宮島達男は、その初期から現在に至るまで「それは、変化し続ける」「それは、あらゆるものと関係を結ぶ」「それは、永遠に続く」という3つのコンセプトに基づいて作品を制作してきた。そして今回、それらのコンセプトを象徴するデジタルカウンター・ガジェットをさらに進化・深化させた革新的なデジタルカウンターの誕生が実現した。
東京大学で人工生命を研究する池上高志教授の協力を得て制作された新作は「生命体のような動きをするガジェット」。これまでの宮島作品は数字のカウントが規則的なリズムを保っていたのに対して、この作品には、自然のリズムと同じように、ランダムで予測不可能なリズムが生じる。自然界の生命体のように周囲の環境や互いの関係性の中で自らを変化させ、順応し、既存のフォーマットを超えた新しい存在として自身のプログラムを書き換えていくのだ。
これまでの作品とは異なる、より人工生命の科学にアプローチした本作。その複雑かつ繊細な表現は、作家の世界をより深め、より強固なものとするだろう。発光ダイオードのデジタルカウンターを用いた作品を制作して25年。革新的な技術による宮島達男の新たな飛躍を、そして新たなアートが生まれる瞬間を、ぜひその身体で感じてほしい。
【会期】2012年10月12日(金)~11月17日(土)
【会場】SCAI THE BATHHOUSE 東京都台東区谷中6‐1‐23 柏湯跡
☎03‐3821‐1144
【休廊】日・月曜、祝日
【開廊時間】12:00~18:00
【料金】無料
【関連リンク】 SCAI THE BATHHOUSE