今、最も大きな注目を集める彫刻家の一人、三沢厚彦(1961年京都府生まれ)が5年ぶりとなる西村画廊での個展を開催する。三沢は2000年に同画廊で開催された個展「アニマルズ」で、樟から彫り起こしたどこかユーモラスで親近感のわく佇まいの動物彫刻を発表。この個展は大きな反響を巻き起こし、これを機に2001年の第20回平櫛田中賞を受賞した。以降も国内各地で精力的に作品を発表し、来年には三重県立美術館と浜松市美術館での個展が予定されている。
「動物のリアリズム(実在)とリアリティ(実物や日常生活の中で見聞きする、寓話化やキャラクター化されたものが混在した動物観)との境界に位置するものに興味をそそられる」と語る三沢。その作品は決して実物に忠実ではなく、キャラクターのようでもなく、あくまでもシンボリックで、我々に多様な解釈を許す。境界線上を行き来する三沢の動物たちは、まさに様々なイメージを想起させる「動物」という言葉の概念そのものを表象しているようだ。
今展では犬や猫、うさぎ、リスなど馴染み深い動物はもちろん、獲物を狙うかのようにかがむ大きな雪豹や、カナダの太平洋沿岸部に生息し先住民からスピリットベアと呼ばれるクマなど珍しい動物の新作が発表される。また、今年から取組み始めたセラミック・ワークの新作や近年の美術館での個展で発表した作品など、バラエティに富む「動物」たちがところ狭しと展示空間を埋める。愛らしくも野性味溢れる動物たちに、あなたは何を思うだろうか。
【会期】2012年11月13日(火)~12月15日(土)
【会場】西村画廊(東京都中央区日本橋2‐10‐8 日本橋日光ビル3階)
☎03‐5203‐2800
【休廊】日・月曜、祝日 (ただし11月19日(月)は開廊)
【開廊時間】10:30~18:30
【料金】無料
【関連リンク】西村画廊