日常、私たちが素通りするような何気ない風景を、ややくすみあずき色がかった独特の色彩で描き出す洋画家・相笠昌義(1939年東京都生まれ)。誰が誰でもなく、無表情に歩を進める人々の“特別でない”情景は、あたかも自分自身がそこにいるかのような錯覚と共に私たちの心に入り込んでくる。
東京藝術大学美術学部油画科(小磯良平教室)を卒業後、79年に第29回芸術選奨文部大臣賞新人賞、82年に第25回安井賞展安井賞、2008年には第31回損保ジャパン東郷青児美術館大賞を受賞。長きにわたり美術の第一線で活躍するとともに、多摩美術大学教授として後進の指導にあたってきた。08年に同大学を退官して後も、毎年のように個展を開催するなどその旺盛な制作意欲は衰えを知らない。
70を過ぎ、自らの人生を回想することが多くなったと云う相笠。彩鳳堂画廊ではおよそ16年ぶりの個展となる今展では、自らが生まれ育った東京の街を作品として描いておきたいという思いから“東京生活”をテーマに新作約15点を発表する。東京の象徴である東京駅、伝統のある皇居、庶民の街・浅草、若者あふれる渋谷など、時代の流れの中で多様に変遷していく東京の街のいまを、相笠昌義の世界から感じとってほしい。
【会期】 2012年11月1日(木)~18日(日)
【会場】 彩凰堂画廊 (東京都中央区銀座6‐7‐7第3岩月ビル3階)
☎03‐3575‐0960
【休廊】 会期中無休
【開廊時間】 10:00~19:00
【料金】 無料
【関連リンク】 彩鳳堂画廊
【関連書籍】 『相笠昌義作品集 描かれた日常1961―2004』 (美術年鑑社 刊)