日本画家・川﨑鈴彦(日展参与 ※崎の大は立)の展覧会が市川市東山魁夷記念館で開かれている。
川崎鈴彦は1925(大正14)年、日本画家・川崎千虎を曽祖父に、川﨑小虎を父に東京に生まれた。48年に東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業。その後は、父・小虎と、義兄にあたる東山魁夷に師事し、49年に日展に初入選を果たす。以降、60余年にわたり日展を中心に活躍、現代日本画壇に確固たる地歩を築いている。
「平成のおくのほそ道」シリーズは、言うまでもなく松尾芭蕉の「奥の細道」に着想を得ている。芭蕉は俳句の新境地を求めて、日光、白河の関、松島、平泉中尊寺、最上川、羽黒山、金沢、山中温泉、永平寺など、江戸深川から美濃大垣まで2400キロを旅した。鈴彦は、芭蕉が旅した奥羽・北陸地方にかけて、自ら全旅程の写生に赴き、四季の情景と俳聖の詩心を繊細な筆致で瑞々しく表現。本シリーズは自らの画業におけるライフワークとなった。
このたび市川市に同シリーズが寄贈されたことを記念し、本展ではその中から画家自身の選定による作品を紹介している。第1章では、1994年から2001年までに個展や日展、日春展などで発表された23点を展覧する。
第2章では、“日本美の継承”をテーマに、川崎千虎と小虎の模写作品から「土蜘蛛草紙絵巻」、「平家納経」など、また東山魁夷作品から、東宮御所壁画「日月四季図」小下絵、唐招提寺鑑真和上像厨子絵「瑞光」試作、「晴れゆく嶺」、「波響く磯」などが並ぶ(一部展示替えあり)。川崎千虎、小虎、鈴彦、そして東山魁夷における古典の継承と現代的な感覚の融合、その芸術精神が窺える展観となっている。
「新美術新聞」2012年11月11日号(第1296号)1面より
【会期】 2012年11月3日(土・祝)~12月16日(日)
【会場】 市川市東山魁夷記念館(千葉県市川市中山1-16-2) ☎047-333-2011
【休館】 月曜
【開館時間】 10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
【料金】 一般600円 大高生300円 65歳以上480円 中学生以下無料
【関連リンク】 市川市東山魁夷記念館 公式ホームページ