平成25年度政府予算案等への反映状況 ―今期最終―
第10期文化政策部会(第6回) 文化審議会総会(第58回)を開催
新たに「大学を活用した文化芸術推進事業」を重点支援
文化芸術の基本的な方針「第3次基本方針」3年次にあたる平成25年度予算案等への反映状況を調査検討する文化審議会第10期文化政策部会(第6回)、続いて24年度各分科会等の審議状況を総括する文化審議会総会(第58回)が、2月20日(水)、文部科学省で開かれた。東日本大震災から2年、文化庁予算案は過去最高の1033億4200万円(一般会計、対前年度0.14%の1億4200万円増)となった。同総会には、自民党政権となり新たに就任した下村博文・文部科学大臣も出席、安倍内閣としても更に教育ならびに芸術文化政策に重点を注ぐ抱負を述べた。
今年度、文化政策部会では、東日本大震災からの創造的復興の在り方に関して集中審議やヒアリングを行い、「最近の情勢と今後の課題」という提言が纏められた。
25年度予算案では、「文化力による地域と日本の再生」が謳われた。この政府予算案等(関連施策)が文化庁関係ならびに、新たに関係省庁(外務省、観光庁、経済産業省、総務省)課長クラスの説明を得て行われた。アニメ、ファッションなどクールジャパンのコンテンツが文化外交や経済産業戦略と密接に絡むため、各省庁間の横断的連携としての試みである。
「第3次基本方針」(平成24~27年度の間)に掲げられた六つの重点戦略では、「諸外国のアーツカウンシルに相当する新たな仕組みの導入」(重点戦略1)に力点がおかれ、予算増額となった。
また、重点戦略2「文化芸術を創造し、支える人材の充実」からの『文化芸術活動・施設を支える専門的人材の育成・活用支援の充実』として特に、大学を活用した文化芸術推進事業(芸術系大学等の有する様々な資源を積極的に活用しアートマネジメント人材を養成するため公演、展示等の開催も含めた実践的なカリキュラムを開発・実践する事業を支援)に、新規予算4億5千万円を充当させた(文化芸術振興補助金)。これはかつてない画期的な施策。この間の大震災の復興事業の過程で人的交流、創造的な仕組みの連携を芸術系大学が中心となって生み出したことへの積極的な評価であり、25年度の重点支援策。
文化審議会総会には、昨年末自民党に政権交代し、新たに就任の下村博文・文部科学大臣が出席した。開会冒頭に挨拶に立ち、「わが国が目指すべきは世界で一番の軍事大国ではなく、一番の経済大国は残念ながら難しい。これから目指すべき方向は、教育はもとより文化芸術立国として世界に貢献しうるよう、トップを目指し、人類に貢献する、そういうステージにわが国は今立っていく道にきています。こうした文化の力の重要性に鑑み、しっかりとした国としてのバックアップが必要です。過去10年ほどは毎年1~2億円ずつ増え、平成25年度の文化庁予算は過去最高額の1千33億円(対前年度比1億4千万円増)。近藤誠一・文化庁長官とも御話するところですが、わが国が文化芸術立国を目指し、またステージを変えるとなればいままでの1.5倍、2倍とか5倍とか、今後数年間のうちに獲得できるようにしなければ本当の意味での文化芸術立国にはなりえません。次年度以降の予算に反映できるよう先頭にたちたい」などと語った。
このほか第2期美術品補償制度部会から、「国立トレチャコフ美術館所蔵レーピン展」、「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」「特別展 中国 王朝の至宝」「ラファエロ展」「フランシス・ベーコン展」の5件について政府補償する報告があり、著作権分科会等の審議状況が報告された。
「新美術新聞」2013年3月11日号(第1306号)3面より