具象絵画35歳以下の有望新人
35歳以下の若手画家を顕彰し、具象絵画の可能性拡大を目的に掲げる「絹谷幸二賞」の第5回受賞者が決まり、主催者である毎日新聞社より発表された。本賞である絹谷幸二賞には橋爪彩氏(1980年12月東京都生まれ、32歳)、同奨励賞には今津景氏(1980年4月、山口県生まれ、32歳)、ともに女性画家が、昨年に引き続き選出された。受賞者には賞状と賞金(本賞に100万円、奨励賞に50万円)が贈られた。賞の贈呈式は3月13日、東京千代田区神田の学士会館で行われた。
2年連続で受賞は女性画家2人
主催者発表によれば、絹谷幸二賞の資格は、当該年(第5回は2012年)12月末日で35歳以下の画家であること。同年、国内で開催の公の展覧会に発表した作品群の成果=展覧会の成果が授賞の対象。国籍は問わない。選考委員は昨年度の第4回から山下裕二・明治学院大学教授、OJUN・東京藝術大学准教授、原久子・大阪電気通信大学教授の3氏が務める。
その選考は同新聞社が全国の美術館学芸員や評論家、ジャーナリストらに推薦を依頼。今回は25人から推薦の候補者23人(複数推薦2人)があった。3人の選考委員のポートフォリオ審査や作品視察など2度の選考を経て受賞者が決定した。
第5回絹谷幸二賞を受けた橋爪彩氏は、次の展覧会の成果が授賞の対象となった。
12年4月、グループ展「ポーラミュージアムアネックス展2012 華やぐ色彩」展(東京・ポーラミュージアムアネックス)。同年4~5月、個展「sometimes we can’t choose where we die」(京都・イムラアートギャラリー)。
同氏は、03年東京藝術大学美術学部絵画専攻油画科卒業。06年同大修士課程絵画専攻(油画)修了。現在、東京都在住。受賞歴として04年シェル美術賞で岡部あおみ審査員奨励賞。近年の主な展覧会歴に、11年個展(イムラアートギャラリー東京)、13年グループ展「DOMANI・明日2013」(東京・国立新美術館)がある。
奨励賞を受けた今津景氏の授賞対象は、12年7~8月の個展「SHININGREPLACE」(東京・第一生命南ギャラリー)。
同氏は07年多摩美術大学大学院美術研究科修了。現在、神奈川県在住。受賞歴に、09年VOCA展佳作賞。主な展覧会歴に、10年個展(東京・山本現代)、11年個展(アートフェア東京、山本現代)、12年グループ展「Painting Never Dies」(東京・YUKA・TSURUNO)などがある。
同賞は現代日本を代表する画家のひとりで日本藝術院会員・独立美術協会会員として幅広い活動を展開する絹谷幸二氏が、2008年「これからの若い画家を励まし育てたい」との発願で毎日新聞社に提案、その意志を受けて同新聞社が主催者として創設したものだ。今回は第5回となる節目の決定だが、昨年の第4回から連続して女性画家2人の受賞となった。
絹谷氏はかつて洋画壇の登竜門である安井賞を31歳の若さで受賞(1974年、第17回)、その受賞は後の画業の大きな励みになった。その自らの体験が絹谷幸二賞の元にある。絹谷氏が資金を提供(ただし審査等には一切ノータッチ)、毎日新聞社が主催し、協賛に三井物産が加わる。
第5回絹谷幸二賞の推薦作家は以下の通り。(受賞者2人を含む)
淺井裕介、池田陽一、今津景、岡田真希人、梶岡俊幸、北村佳奈、黒木南々子、幸田千依、児玉美咲、近藤亜樹、五月女哲平、田中武、中田朝乃、新田友美、橋爪彩、服部しほり、服部知佳、廣田美乃、増田佳江、松井えり菜、村山春菜、森田加奈子、和田典子。(五十音順・敬称略)
「新美術新聞」2013年3月1日号(第1305号)3面より