第26回平櫛田中賞に大平實氏(1950年新潟県生まれ)が選ばれた。同賞は、107歳の天寿を全うし、近代彫刻界に偉大な足跡を残した平櫛田中が、百寿の記念に寄附した浄財を元に1971年に創設され、現在は井原市が主管する。公募によらず、美術評論家、彫刻家等の選考委員によって推薦された候補者の中から選考される。
大平氏は、東京藝術大学大学院彫刻科修了後、メキシコに渡り、現在はロサンゼルス近郊のパサディナに住む。海外で活躍する彫刻家では初の受賞。広い視野に立つ彫刻造形と、これまでの経験豊富な仕事が評価された。廃材を使用し、徹底した手作業を介して生まれた作品は骨太であり、「もの」の温もりを感じさせる。
様々な土地で製作活動を行い、北海道立旭川美術館、新潟市美術館、原美術館(東京)、大原美術館(岡山)など日本のみならず、ロサンゼルス・カウンティー美術館(アメリカ)、タイ国立美術館、メキシコ国立美術館等、世界各地の美術館で作品が所蔵されている。
「新美術新聞」2013年4月11日付号(第1309)3面より