『美術館へ行こう』
岩波書店刊 草薙奈津子著 本体820円
2004年から平塚市美術館長をつとめる著者が、学芸員を目指し、アートに関心を持つ層向けに1年がかりで纏めたというジュニア向け新書。日本画専門の山種美術館から平塚に赴任したとき、同美術館の入場者数は年間約3万人。
「美術館の良し悪しは入場者数ではないが、もっと多くの人に足を運んでもらうにはどうすればいいのか、その工夫を考えることから仕事は始った」。市民の税金でつくられ、運営される公立美術館ゆえの大変さ、苦労。だが、「三沢厚彦展」「二十歳の原点展」等の企画は評判を呼び、多彩なワークショップなど市民一般の評価は高い。体験報告書だけに説得力がある。
「新美術新聞」2013年5月1・11日号(第1311号)10面より