富山県立近代美術館(富山市西中野町、雪山行二館長)は移転新築の検討がなされる見通しだ。
このほど富山県(石井一隆知事)が、2015年の北陸新幹線開業を踏まえ、「開館以来の蓄積を生かし、国際的に発進力ある美術館にしたい」との考え方を示した。
同美術館は1981(昭和56)年の開館。32年を経過して建物は老朽化し、現在の耐震基準を満たさず改修が検討されていた。消火設備もいま多くの美術館等で採用されている窒素ガスを充満させる方式でなく旧型のスプリンクラー方式のままで他館と連携する企画展に支障が出る恐れもある、とされる。
現在はやや郊外にあって交通の不便さも指摘され、北陸新幹線開業をにらみ、地元プラス観光客を取り込む施設にすべきだ、との意見もあるという。これまでのところ具体的な移転先や時期については未定だが、本年度中に専門部会で検討に入る。雪山館長は「施設の老朽化は否めない。移転、新築の方向にはありますが、何段階ものステップがあるし具体的には時間がかかりそう」と説明する。
「新美術新聞」2013年7月21日号(第1318号)3面より