『ヨーゼフ・ボイスの足型』
若江漢字・酒井忠康 著
みすず書房 刊 (2013/05)
定価(本体4,200円+税)
「社会彫刻」という概念を編み出し、芸術の枠組みを超えたその活動が今なお多くの作家に影響を与え続けているドイツの前衛芸術家ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)。本書は、1984年のボイス来日前夜、その「足型」を取るというプロジェクト実現のために奔走する美術家・若江漢字のエピソードを軸に、若江によるボイス論、旧友で本プロジェクトの生き証人となった美術評論家・酒井忠康との対談、若江の作品に関する酒井の解説やエッセーなどで構成される。この試みが南方熊楠『神跡考』に着想されたというのが象徴するように、若江のボイスへの傾倒は並々ならぬもの。その熱情が実現したボイスとの交流は、“神話的存在”であったボイスの素顔に迫り、若江の論考に限りない深みを与えている。
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「新美術新聞」2013年7月11日号(第1317号)8面より