文化協力の行動目標規定した「光州共同コミュニケ」を採択
日本から下村文科大臣、青柳文化庁長官が参加
日本と中国、韓国との関係が様々な問題があって難しいなかで9月28日、韓国光州市の金大中コンベンションセンターで第5回の日中韓文化大臣会合が開かれ、日本からは下村博文・文部科学大臣、青柳正規・文化庁長官が参加した。昨年暮れに安倍内閣が発足して以来、日本・中国・韓国の3カ国による閣僚級会議が開かれたのは初めて。会合では、3カ国の文化協力・協力の行動目標を具体的に規定した「光州共同コミュニケ」に合意、国家関係の発展につなげたいとする共通認識が得られたことは大きな成果といえよう。
文化庁によると、日中韓3カ国文化大臣会合の参加者は日本から下村文部科学大臣、青柳文化庁長官、作花文雄・文化庁長官官房審議官ら。中国からは蔡武(サイブ)文化部長、張愛平(チョウアイヘイ)対外文化連絡局長ら。韓国から劉震龍(ユジンリョン)文化体育観光部長官、羅棕珉(ラシュンビン)文化政策局長ら。
発表された会合の概要によると「文化の交流と協力の新時代のために―東アジアにおける文化的成熟の新時代到来を告げる日中韓」と題された光州共同コミュニケには、行動計画レビューとして昨年、中国・上海で採択された「3カ国行動計画」に明記された協力のための主要7分野における文化交流を実現すること、14年以降東アジア芸術祭を定期化するためのパイロット事業の実施、国立博物館同士の交流の拡大など、様々な分野における緊密な協力を見出した、とした。
また東アジア諸国としての共通の価値観を継承し、文化の融合と異文化に対する尊重を重視しつつ、日本は横浜市、中国は泉州市、韓国は光州市をそれぞれ2014年東アジア文化都市として選定し、14年初旬に開始される関連行事を実施することを決定した。
さらに日中韓3カ国間の文化交流促進のため、日本から「東アジア文化交流使推進構想」を提案し、中韓両国より賛同を得た、とする。
大臣会合の際の共同記者会見のなかで、下村文部科学大臣は「日本には韓国、中国とのいろんな課題がありますけれどもそれを乗り越えて今回、共同コミュニケが合意できた、また韓国、中国の両大臣と様々なレベルで具体的な形で文化交流を推進させ、国家関係の発展につなげていくことが重要であるとの共通認識が得られたことは大きな成果です。2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催に向けて、文化芸術立国に向けた取組みをさらに進め、都市間交流や民間交流など韓国および中国との文化交流の機会をぜひ増やしていきたいと考えております。今日はそのキッカケになったことを感謝申し上げたい」と語った。
今回の3カ国大臣会合の意義について、青柳文化庁長官は「東アジア圏の同じ地域のなかで、日中韓それぞれ文化は違うけれども共通点もあります。そういうものをお互いに理解し、その上で出来るだけ協力しあいながら様々なことを一緒にやっていく、その基盤づくりですね。そして文化というのはとてつもなく重要だと思います。尖閣諸島の問題とか難しいことが起きてから3カ国の大臣級が会うのは初めてなのです。そこに大きな意義があります。もちろん派手なイベントや行事のぶち上げは無かったですが、まず実際に会うこと、これが一番肝心な意義ですよ。そして、これから12月には京都市で『東アジア共生会議2013』という文化庁国際フェスティバルが開かれます。東アジアの諸国の文化人が一堂に会しシンポジウムやパフォーマンスを行う集まりです。来年には横浜でも大きな会議を予定しています。今回、中国では幾つもの都市が東アジア創造文化都市として名乗りを上げていたのです。そういう意味では3か国の都市同士の横の連携が生まれつつあり、とてもいい方向にあるのではないでしょうか」と今後の展望を強調した。
第6回日中韓文化大臣会合は14年、日本での開催が決まった。
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「新美術新聞」2013年11月11日号(第1328号)3面より