【レポート】 シンポジウム「文化省の創設を考える」

2013年11月06日 18:02 カテゴリ:最新のニュース

 

東京美術倶楽部を会場に、超党派の国会議員集う

 

主要6政党から国会議員8名が参加した討論会

主要6政党から国会議員8名が参加した討論会

10月30日、東京・新橋の東京美術倶楽部を会場に、シンポジウム「2020年、文化芸術立国の実現に向けて 文化省の創設を考える」が開催された。超党派の国会議員からなる文化芸術振興議員連盟と、伝統芸能や音楽などの実演芸術や美術などの関連団体が構成する文化芸術推進フォーラムが主催。

 

能楽師で人間国宝の野村萬氏(文化芸術推進フォーラム議長)の挨拶につづき、日本藝術院会員の洋画家・絹谷幸二氏が登壇。「アート・アンド・ミュージックは“遊び”だろうか」と問いかけ、美術館など文化資源による観光の強化や、国内マーケットの問題点を指摘した。相反するものに目を向ける「不二法門」思想の重要性に触れ、「平和の均衡は文化力があってこそ保たれる」と語り、「文化省は各省庁の一番上に立つべき。そうなった時、日本は非常に発展する」と力説した。

 

問題提起する絹谷幸二氏

問題提起する絹谷幸二氏

つづいて、塩谷立、枝野幸男、松野頼久、斉藤鉄夫、松田公太、市田忠義、伊藤信太郎、河村建夫の国会議員各氏が登壇。日本共産党の市田氏は現在の文化予算の低さを問題視し、各芸術団体への助成拡充の必要性を訴え、公明党の斉藤氏は、さらなる予算確保には文化省から文化大臣を出すことが重要とした。自由民主党の塩谷氏は文化芸術の継承について、教育分野や地域社会の大切さを話した。

 

どのような文化省になるべきかには、2020年東京オリンピックをふまえつつ「“文化”と“スポーツ”は切り離して、文化省を目指す」(民主党・枝野氏)、「長期的にはプロフィット・センターとなるべき」(みんなの党・松田氏)などさまざまな意見が出た。文化芸術振興議員連盟会長の自由民主党・河村氏は、創設機運高まる「スポーツ庁」の議論にも触れ、省庁再編の流れの中で、「文化省」も考えていきたいと総括。予算獲得を重視し、文化大臣がおかれるような文化政策の一元化こそが創設の第一義であるとの点は、各党の枠組みをこえ一致した。

 

文化芸術推進フォーラムは、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会など15団体が構成。野村萬氏が議長をつとめ、文化芸術振興のための政策提言などを行ってきた。美術分野では、一般社団法人日本美術家連盟(理事長・山本貞)、全国美術商連合会(会長・淺木正勝)が加盟している。

 

【関連リンク】 文化芸術推進フォーラム

 

「新美術新聞」2013年11月11日号(第1328号)3面より

 


関連記事

その他の記事