今年は日本と中国の国交正常化から40周年を迎える。その日中友好を記念した展覧会「日中美術展―東洋美術の未来を探る―日本画と工筆画」が、東京と北京の2都市で企画、開催されることになった。
主催は、日本側が日中美術展実行委員会、日本中国文化交流協会、メディアなど4者、中国側が中日美術展組織委員会、中国国家画院。伝統絵画を継承する両国の代表的画家と新進気鋭の画家による交流展の開催は将来への重要な一石となるだろう。
企画展の話は数年前から作家や関係者の間で進められていたが、このほどその骨格が固まった。
主催者発表の要項によると、展覧会の正式名称は、日中国交正常化40周年記念「日中美術展―東洋美術の未来を探る―日本画と工筆画」。開催時期は、東京展が今秋の9月4日(火)~17日(月)、会場は東京美術倶楽部、4日に開会式を予定。北京への巡回展が、10月20日(土)~11月2日(金)、会場は中国国家博物館、同20日に開会式を予定。
運営主体となる日本側の実行委員会のメンバーとして田渕俊夫・実行委員長はじめ松尾敏男・日本中国文化交流協会副会長、酒井忠康・世田谷美術館長、淺木正勝・同委員会事務局長、本庄俊男・東京美術倶楽部役員ら16名。中国側の組織委員会は、この間窓口となった劉大為・中国美術家協会主席、何家英・同副主席ら22名。
出品作品は双方とも50人の50作品(100~150号大)、日本作家は一部旧作・近作もあるが、若手には新作を期待する、としている。
岩絵の具を用いる技法は、わが国では古来中国に学び、一千数百年の歴史のなかで日本画として発展してきた。近代に入ると岡倉天心や横山大観らを中心に新たな運動が生まれ、その後独自の発展を遂げてきた。
一方、中国では元明の時代以降、写実を旨とする伝統的水彩技法は途絶えていたが、1972年に日中国交正常化が実現、文化交流が進展するなかで、中国の若い画家たちが日本画の影響を受け、中国古代絵画の画風を継承しつつ、新たな時代の絵画を創造発展させる動きが急速に芽生えてきている。
今回の日中国交正常化40周年の機会に両国の伝統絵画を継承する代表的な作家、新鋭たちがその真価を同じ舞台で、相互交流の展覧会を開催することは、将来の広く東洋美術を考える上で極めて大きな意味を持つといってもいいだろう。
なお、今年7月にはこの「日中美術展」を実現、支援するため、参加作家たちの10号新作による企画展が東京美術倶楽部で開かれる、という。
「日中美術展」出品予定作家/
浅野均、荒井経、井手康人、岩田壮平、宇髙健太郎、浦上義昭、大久保智睦、大沢拓也、岡村桂三郎、奥村美佳、加来万周、梶岡百江、加藤良造、川瀬伊人、川又聡、菅野秋恵、神戸智行、小谷里奈、後藤純男、斉藤典彦、菅原健彦、滝沢具幸、竹内浩一、田渕俊夫、土屋禮一、手塚雄二、永井健志、長沢明、中島千波、中野嘉之、那波多目功一、西野陽一、長谷川雅也、畠中光享、廣瀬貴洋、藤井聡子、牧進、間島秀徳、松尾敏男、松下雅寿、松村公嗣、松本哲男、三瀬夏之介、宮いつき、宮北千織、宮廽正明、村田茂樹、山田伸、山本直彰、王培 (50音順、敬称略)
「新美術新聞」2012年6月1日号(第1281号)3面より