“2020年”見据え上野地区で3000万人の集客を目指す
日本を世界の文化交流のハブ(拠点)に 行政・文化施設・自治体の連携が必須
2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。日本屈指の文化施設が集積する上野地区に注目が集まる。それは、この機に世界に誇る日本の文化力により多彩なプログラムを展開し、わが国を世界の文化交流のハブ(拠点)となることだ。文化庁では、「上野“文化の杜”新構想推進会議」を設立、昨年末12月24日、その第1回会合が開催された。現在、上野地区には年間1100万人の来訪者があるが、7年後は3千万人達成が目標という。
この日の会議には、上野の<文化施設・文教施設>側から銭谷眞美・東京国立博物館長、宮田亮平・東京藝術大学長(発起人代表)、林良博・国立科学博物館長、馬渕明子・国立西洋美術館長、坂田和光・国際子ども図書館長、亀井伸雄・東京文化財研究所長、杉村隆・日本学士院長、三浦朱門・日本藝術院長、真室佳武・東京都美術館長、土居利光・上野動物園長、日枝久・東京文化会館長、水野政一・上野の森美術館長、清水明・国立近現代建築資料館長、石橋慶晴・上野学園理事長。
<行政>から青柳正規・文化庁長官(発起人代表)、久保成人・観光庁長官また国土交通省、東京都生文局、同建設局の担当局長さらに台東区、千代田区、文京区の各区長。
<民間企業等>から上野観光連盟、JR東日本、東京地下鉄。以上の構成機関・団体(計25者)の各代表委員が出席した。
下村博文・文部科学大臣が冒頭、「オリンピック担当大臣を任せられました。本日お集まり頂いた皆様の所を訪れる方々を合計すると年間で1100万人が上野に来ている。横の繋がりを強化すればもっと増える、と前々から宮田学長にご提案頂いています。20年までに文化庁予算を倍にして文化芸術面から国の活性化を図ることは、オリンピックと連動してきます。国家戦略特区構想もあり、世界に誇る文化の杜として国の内外に発信すること。40日間のスポーツの祭典だけでなく20年1年間を通し文化芸術の祭典として世界中の人が東京上野、そして日本を訪れてほしい。大胆な発想をもって、この半年間のうちにご報告をまとめて頂きたい」と新構想の趣旨などを述べた。
司会を務めた青柳文化庁長官は、〈「文化の森」の創造とJR上野駅公園口周辺整備〉(08年9月)の私案を説明、上野駅と上野公園を分断する道路の地下化を柱に上野の町全体を活性化する提案をした。
宮田学長は、〈上野の杜 芸術文化都市構想 21世紀の「文化立国日本」〉を世界に発信するとして最高水準の文化拠点形成、3千万人を迎える国際遊学都市などは大きな経済波及効果にも繋がると提案した。
今後、推進会議の具体的な審議のため専門家・識者らで構成するワーキンググループ(WG)を設け、より機動的・実質的な議論を行う。WGメンバーは次の通り。
辰野裕一、栗原祐司、小松弥生、折原守、小室明子、桜庭裕志、鈴木幹夫、北郷悟、畑中裕良、清水明の各氏。
ワーキンググループでは「文化の杜」コンセプトについて、今年1~5月にかけ月1~2回審議を実施。6月に開かれる第2回「新構想推進会議」でWGにおける審議結果の中間報告を受けるという。
「新美術新聞」2014年1月21日号(第1333号)3面より