本紙恒例2013(平成25)年の大型美術展の入場者数を調査取材、ベスト20を表に掲げて、展覧会の特色と背景を探った。大震災の余波を受け、延期再開となった展観もあったが、全般的には例年の様相に戻ったようだ。
昨年は、ルネサンス3大巨匠といわれるラファエロ、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチの展観が偶然にも重なって開かれた。その中でも「ラファエロ」は一級の聖母作品が来日したこともあって50万人超を動員、質も高く入場者数に端的に表れる結果となった。
森アーツセンターでの2つの展観「スヌーピー」と「ミュシャ」は、ともに28万人を上回る動員。特にミュシャはこれまで何度も開かれているが、これほどヒットしたことはなかった。
「京都―洛中洛外図と障壁画の美」は、目新しい企画性を打ち出したとの評価がある。洛中洛外の国宝・重文7件の屏風を集めた展示もさることながら映像の美、迫力で観客を会場で釘付けにしてしまった。印刷・映像メディア各社の技術の粋を凝らした龍安寺石庭の四季はまさに圧巻。今後の展覧会企画の新傾向を示したのではないか、と関係者はいう。また「大神社展」と「飛騨の円空」は主催者も驚く入場者数を記録した。若い層の観客が意外に多く会場を訪れていたと主催側は分析する。その動向は注視する必要があるだろう。
また春・夏・秋の3シーズンにわたって開催された「瀬戸内国際芸術祭」は108日間で107万368人(公式発表)となり、前回開催時(105日間、93万8246人)を約13万人上回る結果。愛知芸術文化センターなどを中心に開催された「あいちトリエンナーレ2013」も、長者町会場や東岡崎会場などを合計すると総来場者数が62万6842人(愛知芸術文化センター単独では20万4716人)となった。
なお、今だ原発被害が大きい福島で「若冲が来てくれました―プライスコレクション」が、仙台展より多い約15万6千人を記録したことは記憶に留めておきたい。
「新美術新聞」2014年2月1日号(第1334号)3面より
【追記 (2014.2.6)】
「レオナルド・ダ・ヴィンチ展―天才の肖像」
入場者数:26万1819人
会場:東京都美術館
会期:4月23日~6月30日
主催メディア:TBS・朝日新聞社
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