【美術館】 富山県立近代美術館の移転新築デザイン決まる

2014年02月10日 14:24 カテゴリ:最新のニュース

 

基本設計は内藤廣建築設計事務所に

多様な利用形態に対応、震災・水害にも高い意識

 

老朽化が指摘され、昨夏に移転新築の方針としていた富山県立近代美術館(富山市西中野町、雪山行二館長)について、富山県は昨年末、新富山県立近代美術館(仮称)新築工事基本設計業務に係る公募型プロポーザルで18者からの応募があり、審査委員会(委員長:西村幸夫東京大学教授)での審査の結果、最優秀者に内藤廣建築設計事務所(東京)を基本設計業務委託先と決定、基本設計イメージを発表した。

 

新美術館はJR富山駅北側の富岩運河環水公園に移転新築される。その提案によると3階建ての美術館で放物線状の外壁を持ち、1階に駐車場とカフェ、2階に展示室と収蔵庫、3階にギャラリー、図書コーナー、映像コーナー、レストラン、機械室、ふわふわドームを配する。

 

屋上庭園まで歩いて行ける木階段の散歩道、3層吹き抜けのエントランスホール、夜間には光を放つシンボルタワーなどを設置するという。

 

最優秀者に決まった理由として、常設展示室と企画展示室を同フロアに配置し展示計画だけでなく来館者の回遊動線にも配慮した多様な利用形態に対応できる計画として評価された。

 

また洪水時の災害対策や屋上広場を避難広場とすることも提案され、大震災以降の公共建築物の在り方にも意識が高いと評価された。県側からは富山のシンボル・立山連峰の眺望の活用、周辺を訪れたくなるようなランドマーク的な建物となることなどの課題があった。

 

美術館の建設費は約70億円、延床面積は9750㎡とされる。県では今後、基本設計業務は3月下旬までに完了予定という。雪山行二・富山県立近代美術館長は「北陸新幹線が開業する2015年に新美術館の開館は無理でしょうが、その後出来るだけ早い時期のオープンを目指したい」と語る。

 

「新美術新聞」2014年2月11日号(第1335号)3面より

 


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