2013年美連協大賞に「実験工房展」
美術館連絡協議会(酒井忠康理事長)による2013年の美連協大賞、同奨励賞、カタログ論文賞の各賞が去る3月3日に決定した。
大賞に輝いたのは昨年1月から神奈川県立近代美術館鎌倉を皮切りに、いわき市立美術館、富山県立近代美術館、北九州市立美術館分館、世田谷美術館を巡回した「実験工房展 戦後芸術を切り拓く」。具体やもの派が脚光を浴びる現在だが、それに先駆けて戦後間もない1951年より瀧口修造のもと展開された前衛の世界を膨大な資料数によって紹介し、話題を呼んだ。
【「実験工房展」巡回館および担当者】
神奈川県立近代美術館=西澤晴美氏、朝木由香氏/いわき市立美術館=平野明彦氏/富山県立近代美術館=杉野秀樹氏、麻生恵子氏/北九州市立美術館=那須孝幸氏、松原知子氏 ※現・うらわ美術館/世田谷美術館=石井幸彦氏、矢野進氏
なお他の受賞に関しては以下の通りとなった。
美連協奨励賞
◇「暮らしと美術と髙島屋」展 世田美が、百貨店のフタを開けてみた。 (世田谷美術館=橋本善八、村上由美)
◇夏目漱石の美術世界 (広島県立美術館=藤崎綾、東京藝術大学大学美術館=古田亮、静岡県立美術館=村上 敬、泰井良※2014年3月まで広島県美)
◇ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡展 (名古屋市美術館=山田諭、渋谷区立松濤美術館=光田由里)
◇中原浩大展 自己模倣 (岡山県立美術館=髙嶋雄一郎、大山真)
美連協カタログ論文賞「優秀論文賞」美連協展部門
◇昭和モダン 絵画と文学 1926-1936
【論文名】 1930年の絵画と文学 福沢一郎《無敵の力》と横光利一「機械」について/速水豊氏(兵庫県立美術館)
◇生誕150年・没後100年記念「岡倉天心展」-大観、春草、近代日本画の名品を一堂に-
【論文名】 海と福井と岡倉天心~天心にまつわる拾遺集~ /佐々木美帆氏(福井県立美術館)
◇生誕百年 桂ゆき-ある寓話-
【論文名】 桂ゆき-ある寓話-/関直子氏(東京都現代美術館)
美連協カタログ論文賞「優秀論文賞」自主展部門
◇マンハッタンの太陽
【論文名】 マンハッタンの太陽-光学的芸術から熱学的芸術への拡張の可能性について/山本和弘氏(栃木県立美術館)
◇現代スペイン・リアリズムの巨匠 アントニオ・ロペス展
【論文名】 アントニオ・ロペスの初期作品と古代美術との関わりについて-1960年代半ばにおけるリアリズム獲得までの軌跡/森園敦氏(長崎県立美術館)
◇種差 よみがえれ浜の記憶
【論文名】 よみがえれ 浜の記憶/高橋しげみ氏(青森県立美術館)
◇ユーモアと飛躍 そこにふれる
【論文名】 ユーモア-知りえぬ世界についての気づき/千葉真智子氏(岡崎市美術博物館)
美連協カタログ論文賞「優秀カタログ賞」美連協展部門
◇石田徹也展
足利市立美術館(江尻潔氏、福島直氏)、平塚市美術館(勝山滋氏)、砺波市美術館(杉本積氏)、静岡県立美術館(川谷承子氏)
美連協カタログ論文賞「優秀カタログ賞」自主展部門
◇榮久庵憲司とGKの世界鳳(おおとり)が翔(ゆ)く
世田谷美術館(野田尚稔氏、塚田美紀氏)
「新美術新聞」2014年4月1日号7面より