山下耕平氏と寺林武洋氏 受賞の喜び語る
3年ぶりに男性、しかもダブルで
35歳以下の若手画家を顕彰し、具象絵画の可能性拡大を目的に掲げる「絹谷幸二賞」(毎日新聞社主催、三井物産協賛)第6回の贈呈式と祝賀パーティーが3月13日、東京千代田区の学士会館において開かれた。
贈呈式には受賞した山下耕平氏と寺林武洋氏、毎日新聞社から伊藤芳明・主筆、賞選考委員の山下裕二氏、原久子氏、鴻池朋子の3氏、同賞の提唱者である画家・絹谷幸二氏(独立美術協会会員、日本藝術院会員)、推薦委員や美術関係者など約150人が出席した。
本賞である絹谷幸二賞を受けた山下氏(29)には賞状と賞金100万円、同奨励賞の寺林氏(32)には賞状と賞金50万円が贈られた。過去2年連続して両賞ともに女性受賞が続いていたが、今回は共に男性が受賞となり、本格派・男子復権のイメージで活気づいた雰囲気の授賞式だった。
挨拶に立った絹谷氏は「おめでとうございます。若々しいお二人ですね。かつては私にもこういう時期があったんです…。世の中ではよく引き籠もりはダメだと言われますが、芸術家にとっては、それは好いことなのです。アトリエに籠って自らと内なる対話を徹底してこそ創造的な独自の表現・哲学、スタイルが生まれるのです。アルバイトなどせず、親の脛を齧っていい、その環境が芸術家の助けになり、育てるのです。これからも頑張って下さい」と激励した。
受賞した山下氏は「こういう晴れがましい場に立ててとても嬉しいです。予想もしていなかったことでした。感謝しています。…これからもしっかりと頑張っていきたい。…」と言葉を少なにではあるが喜びの弁を訥々と表明した。
また寺林氏は「前に出品していたある公募団体展で先輩から、こういう絵を描いていたら売れないよ、などと言われたことがありました。私なりの特徴をもちながら、これからも自分のスタイルを貫き、このやり方で進んでいきます」との決意を述べた。
「新美術新聞」2014年4月1日号(第1340号)3面より