「東京五輪」に向けて文化施策を提案。秋元康、日比野克彦、野田秀樹らが出席
各分野で活躍する有識者が評議員として東京都の文化政策に関する提案を行う「東京芸術文化評議会」の第19回が、6月30日東京都庁第一本庁舎で開かれた。議事は「オリンピック文化プログラム及び今後の東京の文化政策について」。
今回は秋元康、浅葉克己、大野和士、太下義之、小山薫堂、仲道郁代、野田秀樹、野村萬、花柳壽輔、日比野克彦、福原義春(会長)、森佳子、吉本光宏の各評議員が出席し、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた具体的な文化施策を中心とした提案を就任後初の出席となった舛添要一・東京都知事に対して行った。
アーティストで東京藝術大学教授の日比野克彦氏は、上野や六本木、池袋、渋谷など文化的特性がある地域を文化特区として活用するカルチャーオリンピッククラブ「おたがいさま」の設立を提案。2020年に向けてその担い手となる人材を育成し、今後より顕在化する高齢化や無縁社会化などの課題を解決するための礎を構築する計画を示した。アートディレクターの浅葉克己氏は1964年の東京五輪のポスターデザインや自身の過去の作品を提示しながら、2020年に向けて「日本は、ちゃんと、美しいか?」というコピーを発表。東京五輪においても「ひとつの言葉とヴィジョンが欲しい」とした。その他、能楽師の野村萬氏による日本文化の精神を肌で感じることが出来る「和の空間」の創設や花柳流四世宗家家元・花柳壽輔氏による東西の文化を融合した新たな舞台芸術の創造、ニッセイ基礎研究所主席研究員の吉本光宏氏による、国内に1千万台あると言われるピアノの開会式での一斉演奏など様々な提案がなされた。
各評議員からの提案を受けて舛添要一・東京都知事は「実行部隊の組織など前向きに進める。まずは2016年リオデジャネイロ五輪閉会式での東京のプレゼンテーションに向けて、議論を深めオールジャパンで取組みたい」とした。
「新美術新聞」2014年7月11日号(第1349号)3面より