学術賞は2人 牧口千夏氏、森園敦氏
文化振興賞 NECディスプレイソリューションズ
公益財団法人西洋美術振興財団(高階秀爾理事長)は、日本における西洋美術に関する優れた展覧会の企画・実現に功績がある個人(学術賞)並びに団体(文化振興賞)を顕彰する西洋美術振興財団賞を平成18年に創設、このほど第9回受賞者を決定、発表した。
学術賞受賞は2件2人で、牧口千夏 氏と森園敦氏。以下の選考理由は、大髙保二郎・審査委員長による総合選評からの抜粋。
牧口氏(京都国立近代美術館研究員)は「映画をめぐる美術—マルセル・ブロータースから始める」(京近美、東近美で開催)を企画構成担当した。近年その活動が目覚ましい美術家達による映像表現を、ベルギーの詩人・評論家ブロータースの実践と教訓を切り口に解読しようとする実験的な試みと評価された。
森園氏(長崎県美術館学芸員)は「現代スペイン・リアリズムの巨匠:アントニオ・ロペス展」(長崎県美、岩手県美、Bunkamuraザ・ミュージアム)を担当。アントニオ・ロペス展は、静謐で省察的な日常の世界を提示し、リアリズム絵画の新鮮な感動を改めて与えてくれた。この回顧展は平凡な生活や風景に潜む奇蹟的な美のあり様を提示、ロペス芸術の全貌を明らかにした。
文化振興賞は1社で、NECディスプレイソリューションズ(株)。あいちトリエンナーレ2013他、近年日本で行われている映像展の多く、に対し授賞。映像関連の作品が急増する中で、優れた展覧会の実現に協力、振興賞に相応しいとした。
「新美術新聞」2014年8月1・11日号(第1351号)3面より