次代を担うアーティスト・デザイナーを発掘
東京ミッドタウンが次世代を担うアーティストやデザイナーの発掘・応援を目的として開催する「Tokyo Midtown Award」。7回目となる今年は〈アートコンペ〉、〈デザインコンペ〉の両部門で計1429点の応募があり、グランプリ2作を含む受賞作品14作が決定した。
今回、テーマが設けられなかった〈アートコンペ〉では357組が応募。ミッドタウンの街路に設置することを意識したサイトスペシフィックなものが求められた結果、立体が最も多くの募集を集めた。その中でグランプリに輝いたのは小さな生き物が住む、長い時間を経たコンクリ-トブロックの壁を金属で精巧に表現し「身近な、日々の感動」を示した原田武の『群雄割拠』。原田は名古屋市生まれ、広島市立大学大学院芸術学部造形計画専攻修了。現在は広島市を拠点に制作を行っている。今回の作品については「建築されてから時間が経過したコンクリートブロックの壁、一部は崩れ雑草が生えていた。その草や壁には小さい生き物達が住んでいる。子どものときには身近で何気ない所から発見をして喜びを感じていた。年を重ねていくにつれてそうした発見や感動は無くなっていく。そんな日常に金属によって作られた塀や虫や花によって観察と発見をする喜びを与えたい」としている。
そのほか準グランプリには加藤立(フリーランスデザイナー、東京藝術大学美術学部建築科卒)の『TODAY』、優秀賞には大塚亨の『Empty freezer(m12)』、小林万里子の『明日へ変わる』、住田衣里の『The other』、山田弘幸の『欲玉』が選出された。
また「和える」がテーマとなった〈デザインコンペ〉では1072組が応募。昨年のグランプリ作品『MID DAY』に続く、海苔や味噌といった日本ならではの食材、お菓子などに新たなデザインのエッセンスを「和えた」作品が多かったという。その中でグランプリを受賞したのは榎本大輔と横山織恵からなるクリエイティブチーム・hitoeの『和網』。和柄が編まれた金網で、料理のシーンに日本の伝統を感じる提案をした。受賞作について「日本ならではの和柄を焼き目にして和えることで、旬を楽しめたらいいなと思いました。普段と同じ食材でも、新たな味わいをつくり、個性的で美しい一品をお料理のレパートリーに加えられる、和の焼き網です」とコメントを寄せている。
そのほか準グランプリは毎熊那々恵、深田彩乃、杉山理子、根津唯によるユニット・85の『鎧カッパ』が、優秀賞には山本悠平の『kokki』が選出された。また〈デザインコンペ〉では審査員特別賞も授与され、小山薫堂賞に遠藤可奈子の『origami tale』、佐藤卓賞にwunit design studio 橋本&松井の『HARMONACA』、柴田文江賞に前田紗希の『婚鑑―KONKAN―』、原研哉賞に泉美菜子の『金継ぎ煎餅』、水野学賞に土屋寛恭の『おみく枝』がそれぞれ受賞した。
なお両コンペの受賞作品は11月9日(日)まで東京ミッドタウン・プラザB1F展示スペースにて展示されている。また東京ミッドタウンで開催の「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」期間中の11月3日(月・祝)まで、同会場の来街者の一般人気投票を実施、「東京ミッドタウン・オーディエンス賞」を決定する。
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