【レポート】フランスの国外文化施設「ヴィラ九条山」リニューアルオープン

2014年10月22日 17:13 カテゴリ:最新のニュース

 

新たに工芸分野開放&日仏2人一組の「デュオ」企画も導入

 

アンスティチュ・フランセ日本が運営するアーティスト・イン・レジデンス「ヴィラ九条山(くじょうやま)」(京都市山科区日ノ岡夷谷町17-22)が10月4日、リニューアルオープンし、記者会見が行われた。会見では新たに就任したクリスチャン・メルリオ館長、大江ゴティニ純子企画開発渉外・特任館長が挨拶、新生ヴィラ九条山を紹介。また椿昇・京都造形芸術大学教授、現代美術家・名和晃平氏、珠寶・銀閣慈照寺花方教授による日仏連携施策の説明があった。

 

(左から)名和晃平氏、珠寶氏、椿昇氏、大江ゴティニ純子・特任館長、クリスチャン・メルリオ館長

 

「ヴィラ九条山」は1992年、建築家加藤邦男氏の設計で京都東山の丘の上に建てられたフランスの公式文化施設。ローマにあるヴィラ・メディチに倣って創設され、フランスが国外に展開する文化施設の中で最も重要な一つとされる。創設以来、現代アートと人文社会科学の分野―建築、文学、音楽、パフォーマンス、演劇、映画、デジタル・アート、デザインなど―から250人以上のレジデント(滞在者)を受け入れてきた。2011年から対外評価に重点が置かれた結果、築20年を超す建物の改装を行い(ピエール・ベルジュ氏の援助を受けて実施)、1年半の休館を経て今回の再オープンに至ったもの。敷地面積=2515.69㎡、延床面積=1164.27㎡、4階建て、6つの滞在型スタジオを有する。

 

「ヴィラ九条山」の正面入り口

会見でメルリオ館長らは「日仏共同館長として、このヴィラの歴史的価値である日仏の友情の絆と両国間の相互理解の発展の意志を受け継ぎ、更に振興させていくことが使命です」とし、リニューアルオープン後の活動の狙いを次のように説明。「一つはグローバルな視点に立ち、分野を超えた国際的な芸術交流プログラムに成長させること。もう一つは、官民の枠を超えた日仏の様々な協力機関、企業、組織に積極的な企画への参加を呼びかけ、長期的展望に立った確固たるパートナーシップを礎にヴィラ九条山というネーミング・ラベルを築き上げることです。京都から日本全国へ、日本からフランス、そして世界へと常に発信型の“外”に開かれた文化施設にしていくことを目指します」と抱負を述べた。

 

2014年および15年のヴィラ九条山のレジデントとして、1000件以上の応募の中から18件のプロジェクトを選出、4名は今年9月から2カ月~6カ月の期間、改装されたヴィラでレジデント生活を送る。そのうち2件は、レジデンス・プログラム「ヴィラ九条山・デュオ」としてアンドリュー・トッド&萩野喜一郎(建築)、ダミアン・ジャレ&名和晃平(ダンス/パフォーマンス)の日仏アーティスト2人1組で実施される予定。なお同プログラムはベタンクール・シューラ―財団の特別支援により導入された。

 


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