21世紀の新しい“用の美”を追求
日本の長期的な工藝振興に寄与しようと、昨秋立ち上げられた一般社団法人ザ・クリエイション・ジャパン(=林英樹代表理事)が9月下旬に東京ミッドタウンで「環境×工藝 地球の明日につながる、日本のデザイン」と題したフォーラムを開催した。
メインプログラム第1部は建築家・團紀彦氏とプラントハンター・西畑清順氏による「建築×自然」をテーマにしたトークセッション。第2部では金沢21世紀美術館館長・秋元雅史氏、染織家/人間国宝・土屋順紀氏、徳川ミュージアム理事長・徳川斉正三者による講演が行われた。
以前より工藝・デザインの重要性を説いてきた青柳正規・文化庁長官は来賓として冒頭に挨拶。「日本の工藝は近代化に貢献した。なぜ日本の工藝は優れているのか。1つは世界的に見て奈良時代から激しい戦争がなく文化の継続性が守られ、技術や意匠に関する蓄積が伝わってきたこと。もう1つは江戸時代に限られた資源をどう活用するかについて各藩で国興しが行われ、地域の産物・工藝品が開発され、日本中で販売され、その蓄積が明治・大正・昭和を経て現在まで継承されているから。素晴らしい工藝作家たちの創るものが昔から我々の身近にあった。創り手と使い手の距離が非常に近く、無駄な説明をそぎ取ったコアなものとして工藝品が存在していた。今後、一番重要なことは海外に対して日本工藝の良さを言葉で説明していくこと。グローバル化と国際化が浸透していく中で、日本の伝統とアイデンティティーを守るためにも、全てが結集されている工藝を大切にしていかなくてはならない」と強調した。
また林代表理事は「我々は3つの活動をやろうとしている。1つ目は“21世紀鷹ヶ峯フォーラム”で工藝を盛り立てていく活動を継続的に行っていくこと。2つ目は“工藝旦那衆の会”をスタートし、使う側が楽しく語りながら支援する集まり。3つ目が工藝作家の活動を国内外で紹介する情報のデータベース化。これらを柱に活動を進めていきたい」と語った。
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