奥田理事長「生まれ変わった日展を観てほしい」
日本最大の公募美術展「改組 新 第1回日展」が10月31日、国立新美術館で開幕した。公益社団法人日展は今年7月末、昨秋起きた書部門の入選事前配分問題に端を発した一連の報道の総括として理事長交代を含む大幅な審査・組織改革を発表。新理事長に奥田小由女氏が就任し、また106年の歴史で初の外部から理事・監事を迎えるなど大幅な組織改革を行った。
総応募点数12,638点、うち2,288点入選(新入選400)を数える「改組 新 第1回日展」。開会の挨拶に立った奥田理事長は「国立新美術館における第1回を開催し、このようの大勢の方々にご出席いただけることは日展作家としても、また運営する側としても待ち望んでいたこと。これ以上の幸せはない」と冒頭に感謝の意を述べた。
また今回の改組については「今年で107年目を迎える日展だが、今日まで全5科が研鑚と努力を重ね、日本の美術振興に寄与してきたものと自負してきた。しかしながら昨年10月には日展の審査に関する件が報道され、多くの方々にご心配を掛けた。報道を受け、我々は第三者委員会を募り、日展全体をくまなく調べてもらった。その結果を真摯に受け止め、日展の全てを改革することにした。全5科の者全てが襟を正し、社会に受け入れてもらえるような新しい日展を生み出すことが大きな目標となると考え、推し進めてきた。第1回の開催は皆が襟を正して改革を実行し、初めて成り立ったもの」とこれまでの経緯と、開催に至った喜びを改めて語った。
今回の審査については「今回から外部審査員を各科3名ずつ動員し、より公正で透明性を増した審査となった。こういったことは今までの日展では一度もなかったこと。これまでは作家が全てを行ってきたが、今回の件で日展の扉を大きく開き、外の目や空気を入れて、新しい日展として蘇ろうとした。その結果、素晴らしい審査が出来たと思っている」とし、「今回は日展作家が心を一つにし、必死の想いで制作した作品ばかりが並んでいる。多くの方に新しく生まれ変わった日展を是非ご覧いただきたい。今後も日本美術のさらなる発展のために5部門が協力し、また公益法人としての役割を自覚し、美術の力を以て社会に貢献できるよう引き続き精進していきたい」と締めくくった。
〈「改組 新 第1回日展」の様子〉
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