【イベント】『Open Storage 2014-見せる収蔵庫―』にやなぎみわ、ヤノベケンジらが参加

2014年11月06日 12:30 カテゴリ:最新のニュース

 

前例のない「オープン・ストレージ」で大型アート作品を一般公開

 

やなぎみわ《『日輪の翼』上演のための移動舞台車》 2014年 1,052×652×1,021㎝(展開時)

 

一般財団法人おおさか創造千島財団(所在地:大阪市住之江区)は、11月8日より『Open Storage 2014-見せる収蔵庫―』を開催する。同展は約1,000㎡の鉄材加工工場・倉庫跡(所在地:大阪市住之江区)を活かし、大型アート作品を無償で保管・展示する「MASK (MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)」で初開催となる展覧会。今展タイトルにある「オープン・ストレージ」とは美術館等の収蔵庫のコレクションを限定的に公開する施設や鑑賞ツアーなどを指し、主に欧米で行われている取り組みだが、日本国内では大型アート作品の「オープン・ストレージ」はほぼ前例がない。

 

撮影:守屋友樹

 

今展では国際的にも活躍する現代美術作家5人(宇治野宗輝、金氏徹平、久保田弘成、やなぎみわ、ヤノベケンジ)が8作品を出展。オープニングイベントでは、同展キュレーター・木ノ下智恵子(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任准教授)進行によるアーティスト・トークの他、やなぎみわ「日本に初輸入した移動舞台車」(10.2×6.5×11.2 m)のご開帳+ポールダンスの関西初披露、廃船を回転させる久保田弘成「大阪廻船パフォーマンス」(4×3.8×5.5m)や、水都大阪2009で活躍したヤノベケンジ「火を吹くラッキードラゴン」(10×4.5×15.3m)が5年1ヶ月ぶりに復活、稼働を果たす予定。

 

会場のスケール感を活かした展示や併設のホワイトキューブにおける各作家の関連展示なども展開し、これまでにない実験場としての展示を誕生させる。

 

(右上から時計回りに)
ヤノベケンジ《ジャイアント・トらやん》 2005年 撮影:豊永政史
久保田弘成《大阪廻船》 2013年 4m(h)×3.8m(w)×5.5m(d) プレジャーボート、鉄、エンジン、ステッカー
やなぎみわ《『日輪の翼』上演のための移動舞台車》 2014年 1,052×652×1,021㎝(展開時)

 

国内外の芸術環境は、国際展やアートプロジェクトなどの発表機会が盛んになる一方で、その制作環境や発表後の作品保管の課題は大きい。展覧会では、作品の現代性による理由だけではなく、輸送や設置コスト面でポータブル化が可能な映像作品が台頭し、その場限りの作品や事後の破棄を余儀なくされる事例も少なくない。さらに若手アーティストの公募展や企画展では、重厚長大な彫刻・立体作品は希有であり、制作技術も衰退を見せ始めている。特に日本においては、重厚長大な彫刻や複雑な構造の“スカラプチャー”や“インスタレーション”は、絶滅危惧種的存在であるといっても過言ではない。

 

他方、企業のコアビジネスにおけるデータ量の増加に伴い、保存環境のコスト削減が重要課題とされる現代においては、 “開かれた外部記憶装置”を意味する“オープン・ストレージ”のシステムが開発された。また、美術界では同じ言葉を用いて、収蔵庫のコレクションを研究・鑑賞などの目的で限定的に公開する施設やシステムがある。ただし、日本においては大型の彫刻作品やインスタレーションの“オープン・ストレージ”は皆無に等しい。

 

奇しくも、時代の最先端をいく軽薄短小産業のIT業界の“外部記憶装置”と、 “重厚長大型作品の収蔵と公開”という2つの意味を孕む、重工業地帯における “オープン・ストレージ”では、近現代の時代的考察や社会的課題についても独自の哲学をもち、彫刻作品の概念を拡張するアーティストと共に、 “芸術の超越力を魅せるプロジェクト”を推進する。そして、北加賀屋の場所性・歴史・環境と呼応しつつも、“特異な場所の機能”を批評的に捉えた先駆的取組みとして、時間を重ねていきたいと考える。この試みの重層によって、本拠が、古い過去の文脈や価値観を新しい視座で見つめ直し、さまざまな“既存”を超越するアートの力を象徴する、恒常的な磁場となり得ると、信じてやまない。

 

(本企画キュレーター・木ノ下智恵子のステイトメントより抜粋)

 

【会期】11月8日(土)、9日(日)、14日(金)~16日(日)、21日(金)~24日(月・祝) ※金・土・日・祝のみ

【会場】MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA) (大阪市住之江区北加賀屋5-4-48)

【開場】13:00~19:00 ※イベント・プログラム開催時は変動

【料金】無料

【問合せ】おおさか創造千島財団事務局 TEL 06-6681-7806(平日9:30-17:30)/会期中 TEL 06-6681-6170

【関連リンク】一般財団法人おおさか創造千島財団

 

■オープニングイベント

(上)金氏徹平《Model of Something #6》 2013 oil based marker on acrylic boxes and boards Dimensions variable copyright the artist courtesy ShugoArts (下)宇治野宗輝《ザ・バラッド・オブ・エクステンデッド・バックヤード》 2010-2013 木製家具、家電機器、他 サイズ可変

(上)金氏徹平《Model of Something #6》 2013 oil based marker on acrylic boxes and boards Dimensions variable
copyright the artist courtesy ShugoArts
(下)宇治野宗輝《ザ・バラッド・オブ・エクステンデッド・バックヤード》 2010-2013 木製家具、家電機器、他 サイズ可変

【日時】11月8日(土) 19:00~21:00 

【プログラム】

アーティスト・トーク(出演者:全参加作家、当財団理事長・芝川能一、進行:木ノ下智恵子)

展示作品関連パフォーマンス

久保田弘成《大阪廻船》廻船パフォーマンス

ヤノベケンジ《ジャイアント・トらやん》《ラッキードラゴン》ファイヤーパフォーマンス

やなぎみわ《『日輪の翼』上演のための移動舞台車》ご開帳+ポールダンス

 

■金氏徹平による新作公開制作

【日程】11月8日(土)、14日(金)、16日(日) 

 

■クロージングイベント 展示作品関連パフォーマンス

宇治野宗輝とブラボー小松(Guitar)のユニット、Bravo, Ujino & The Rotatorsによる、展示作品「THE BALLAD OF EXTENDED BACKYARD (car section)」を使用したライヴ・パフォーマンス。

【日時】11月24日(月・祝) 15:00~ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


関連記事

その他の記事