国際交流基金は、11月13日、バングラデシュ・ダッカ市で今冬開催される、現代美術の国際展「アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ2014」(主催:バングラデシュ・シルパカラ・アカデミー)への日本の公式参加および出品作家を発表した。
「アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ」は、1981年にアジア14カ国の参加を得て開始されたアジアで最も歴史ある現代美術の国際展の1つ。前回の第15回では、アジア地域を中心に34カ国から224名のアーティストが参加し、小泉明郎によるビデオインスタレーション「Theatre Dreams of A Beautiful Afternoon」(キュレーター:飯田志保子)が最優秀賞を受賞している。
今回、国際交流基金は、キュレーターに高橋瑞木氏(水戸芸術館現代美術センター主任学芸員)を招聘、卯城竜太・林靖高・エリイ・岡田将孝・稲岡求・水野俊紀の6名によるアーティスト集団「Chim↑Pom」による家庭用全自動お掃除ロボットを使った作品「下町のパラドックス」と、日本とバングラデシュの各地を訪れて制作する新作の映像インスタレーション「It’s the wall world」を紹介する。
「下町のパラドックス」は、掃除用ロボットが、床掃除の代わりに赤や青、黄色のペンキで床を汚し(=絵を描き)、巨大な抽象画を描くという作品。ジャクソン・ポロックや具体美術協会の白髪一雄のアクションペインティングを参照しているが、行為の主体はもはや人間ではなく、人工知能を備えた掃除用ロボットである。Chim↑Pomは、本作で家事労働と創作行為の差異、人間と機械の創造力の拮抗をユニークに提示しながら、現代社会やアートにおける人間性についてのパラドックスについて問いかける。
「It’s the wall world」は、ビエンナーレの壁をくりぬいてつくったジグソーパズルと、そのピースを日本とバングラデシュ各地の人々と交換する様子をおさめたドキュメンタリー映像から構成される新作の映像インスタレーション。この作品のジグソーパズルには市販のパズルのように見本となる絵柄は存在せず、Chim↑Pomが様々な場所から持ってきたひとつひとつのピースがそろうことで初めてそのイメージが浮かび上がる。美術館の壁をピースという単位で分解することにより、世界中のあらゆる場所の壁と交換が可能でさ、まざまな場所と接続することができる。同時に、美術館の壁は交換した先々で美術館の壁という役割から、交換された場所で新たな役割を与えられることになる。今回は日本とバングラデシュの様々な場所で壁からできたジグソーパズルの交換をおこなうことで、文化や言語、宗教の違いという壁を越える共感を導くアートの可能性を探る。
「アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ2014」は、12月1日(月)から12月31日(水)まで、バングラデシュ・ダッカ市のバングラデシュ・シルパカラ・アカデミーで開催される。
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