10メートルの大型彫刻お披露目
今年6月に竣工した虎の門ヒルズ(東京・港区)のオーバル広場に、スペインを代表する作家、ジャウメ・プレンサ氏による高さ約10メートルのパブリックアート《ルーツ》が設置、11月28日に完成披露セレモニーが行われた。
プレンサ氏は1955年スペイン・バルセロナ生まれ。鉄やブロンズ、ガラスなどの素材を使い、概念的・哲学的なメッセージを込めた作品を制作。その造形性の高さとコンセプトが高く評価されており、2004年にはシカゴのミレニアム・パークに1,000 人のシカゴ市民のポートレートを映し出すガラスの噴水「クラウン・ファウンテン」を設置したことでも知られている。また日本国内では2010年に瀬戸内海・男木島で《男木島の魂》を発表・設置した。今回披露された《ルーツ》はこれまで内海聖史やジャン・ワンなどのパブリックアートを設置してきた虎ノ門ヒルズによる7つ目のパブリックアート。大型の彫刻作品である同作は、8つの言語によって膝を抱えて座る人物がかたどられており、多様な文化を越えた世界の多様性、平和的な共存を象徴している。
同作について森ビル株式会社の辻慎吾代表取締役社長は「グローバル社会の理想の姿であり、国際新都市を目指す虎ノ門エリアにふさわしいアート。《ツーツ》という作品名が示す通り、虎ノ門ヒルズを起点に世界の人々が共存する国際的な都市づくりを進めたい。国際都市には必ず素晴らしアートシーンがある。東京が世界一の都市を目指すうえで、こうしたクリティビティは欠かせないものであり、アートや文化は重要な要素。こうした考えから森ビルは森美術館をはじめ多彩なアートシーンを展開できる街づくりを進めてきた。《ルーツ》の視線の先には未来の東京の姿がある」と同作が持つ重要性を強調した。
また森美術館・南條史生館長はプレンサ氏とともに登壇、「森美術館は開館当初から『アート&ライフ』をモットーにしている。これは生活の中でアートを楽しんでもらいたい、アートと生活は常に一体なのだという想いが込められたメッセージ。今回の《ルーツ》は虎ノ門ヒルズ最大のパブリックアートであり、シンボルとなるだろう」。これに続き、プレンサ氏が挨拶し、「今回特別な日本のイメージに基づいてこの作品を作った。20年来日本に通っているが、伝統と未来、古いものと前衛が共存するこの国のイメージに感銘を受けてきた。《ルーツ》は土から以上に力強いかたちで伸びる根を表している。そしてこれは東京という未来に向かう都市に相応しいアイデンティティではないかと考えている」と語った。