日本工営株式会社が子会社化、事業譲渡へ
槇文彦、菊竹清訓らとともにメタボリズムを提唱したことで知られる黒川紀章(1934~2007)。その黒川氏が設立した黒川紀章建築都市設計事務所が15日、東京地裁に民事再生手続きを申し立てた。負債総額は約12億円。従業員は14人。
黒川氏は東京大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程で丹下健三研究室に所属。1959年には槇文彦、菊竹清訓、粟津潔、栄久庵憲司らとともにメタボリズム理論を提唱したことで知られており、メタボリズムに基づいた建築として中銀カプセルタワービル(1972年)を手掛けるなど、日本の建築史に大きな足跡を残した。また国立民族学博物館(1977年)や埼玉県立近代美術館(1982年)、名古屋市美術館(1988年)、広島市現代美術館(1989年)、和歌山県立近代美術館(1994年)、国立新美術館(2006年)など多数の大型美術館・博物館を手掛けている。
なお、同事務所は現在上野公園内に位置する日本藝術院の美術品収蔵庫新営工事の設計監理を請け負っており、芸術界にも波紋を呼びそうだ。
今回の譲渡に関して日本工営は「当社は、予てより黒川事務所と主に海外の都市開発分野で協働関係を築いてまいりましたが、今般、黒川事務所の要請を受けて、同社の貴重な業績と経営資源の承継とともに国の内外に広がる都市の整備と開発領域での事業拡大を目的として、スポンサー就任及び事業譲受けに合意いたしました」とコメントを発表している。
【関連リンク】日本工営株式会社 黒川紀章建築都市設計事務所