京都国立博物館の平常展示館「平成知新館」の、2015年春の特別展示のラインナップが決定した。建築家・谷口吉生氏の設計による同館は2014年9月に開館。13ある展示室では、絵画・書跡・彫刻・工芸・考古の各分野でテーマを設けて、収蔵品を紹介している。2015年1月から3月にかけては、いずれも魅力的な3つの特別展示を実施。京都の伝統、歴史を感じさせる、京都国立博物館ならではの展示を楽しんでほしい。
新春特別展観『山陰の古刹・島根鰐淵寺の名宝』
―いにしえの聖地、出雲・鰐淵寺に伝わる名宝の数々を紹介
推古天皇の時代に智春上人によって開かれたと伝えられ、平安時代末に成立した『梁塵秘抄』に謡われるなど、古来より出雲の聖地として、みやこの人々に認識されていた古刹・鰐淵寺の名宝を紹介。いずれも国の重要文化財に指定されている2躯の「観音菩薩立像」や室町時代の「山王七社本地懸仏」など、仏像や神像、仏具、古文書など同寺に伝わる貴重な宝物の数々からは、山陰地方における仏教文化の奥深さを改めて感じ取ることが出来る。
特集陳列『雛まつりと人形』
―京都国立博物館に春の訪れを告げる雛人形の展示
春恒例の特集陳列『雛まつりと人形』が、6年ぶりに復活。寛永雛・享保雛や、考案した人形師の名を付けたという次郎左衛門雛、江戸で誕生した古今雛、公家の装束を正しく写した有職雛など、各種の雛人形が勢ぞろい。面差し、手の動き、装束など、雛人形の変遷を楽しむことが出来るだろう。また、現代では見られなくなった関西風の御殿飾り雛も紹介。新たに寄贈された、1844年(天保15年)に初節供を迎えた女子のために誂えられた御殿飾り雛を披露する。
特別展観『天野山金剛寺の名宝』
―河内地方の文化財の宝庫・天野山金剛寺に伝わる名宝を紹介
金剛寺は、山号を天野山といい、もとは行基の創建と伝えられる真言宗の名刹。平安時代後期に阿観が再興し、南北朝時代には同寺食堂が南朝、後村上天皇の行在所となった。今展では、2009年より始まった境内金堂(重要文化財)の修復に伴い京都国立博物館で預かっている「大日如来像」「不動明王坐像」(いずれも重要文化財)や、平安時代初期の律令の施行細則を記した『延喜式』のうち、巻第九(神名帳)・巻第十二・第十四・第十六の四巻(国宝)、重要文化財「日月山水図屏風」をはじめとする絵画、典籍、甲冑類などの優品、加えて近年の調査によって見出された国文学・漢文学関係の重要な資料をあわせて展示する。
・新春特別展観『山陰の古刹・島根鰐淵寺の名宝』: 2015年1月2日(金)~2月15日(日)
・特集陳列『雛まつりと人形』: 2015年2月21日(土)~4月7日(火)
・特別展観『天野山金剛寺の名宝』: 2015年3月4日(水)~3月29日(日)
【会場】 京都国立博物館 平成知新館(京都市東山区茶屋町527)TEL075-525-2473
【休館】 月曜ただし、祝日・休日の場合は開館し、翌日休館
【開館】 9:30~17:00 (入館は閉館の30分前まで)
【料金】 一般520円 大学生260円 高校生以下および満18歳未満、満70歳以上無料
【関連リンク】 京都国立博物館