2006年に坂口安吾生誕百年を記念し、安吾の精神を具現してさまざまな分野で挑戦し続けることで日本人に喝を与えた個人または団体を表彰することを目的に創設された「安吾賞」。その第9回の受賞者が決定、前衛芸術家として世界的に活躍する草間彌生氏が選ばれた。
草間氏は1929年長野県生まれ。幼少より水玉と網目を用いた幻想的な絵画を制作し、1957年に単身渡米。独創的な作品と活動はアート界に衝撃を与え前衛芸術家としての地位を築いた。1973年の帰国後も全世界を飛び回り活躍中。小説、詩集なども多数発表している。1993年第45回ベニス・ビエンナーレに参加。2000年、第50回芸術選奨文部大臣賞、外務大臣表彰。2001年、朝日賞。2003年フランス芸術文化勲章オフィシェ、長野県知事表彰(学術芸術文化功労)。2004年、信毎賞。2006年、ライフタイム・アチーブメント賞(アメリカ)、旭日小綬章、高松宮殿下記念世界文化賞。2009年、文化功労者顕彰。2012年には欧米の主要美術館を巡回する回顧展が開催され、2013年からは初のラテンアメリカでの回顧展巡回、アジア巡回個展が始まり、現在も各地を巡回中。
今回の受賞に関して草間氏は「このたび、この栄えある賞のお話をいただき、私は坂口安吾さんの人生観とその生き様に共鳴を抱きました。また多くの方々が安吾さんに対する畏敬の念を抱いていることを知り、深く感動いたしました。人生をかけて命がけで闘ってきた、前衛芸術家・草間彌生の足跡を、みなさんが見出し、共感してくださったことに深く謝意を述べさせていただきます」とコメントを寄せている。
なお安吾賞の過去の受賞者には野田秀樹(第1回)、荒木経惟(第6回)、会田誠(第8回)らがいる。