2月17日、京都精華大学(所在地:京都市左京区/学長:竹宮惠子)は、同大学の芸術学部客員教員として、日本の現代美術における重要な動向である「もの派」を理論的に主導したことで知られる李 禹煥(リ・ウーファン)氏の就任を決定した。
李 禹煥氏は1936年韓国生まれ。1956年に来日し、1960年代末から70年代初頭にかけて現れた「もの派」の中心的存在として、作品活動と評論活動を展開。69年のサンパウロ・ビエンナーレをはじめ、上海ビエンナーレやヴェネチア・ビエンナーレなど国際的に活躍し、国内外から高い評価を受けてきた。2011年にはNYのグッゲンハイム美術館で個展を開催。昨年のヴェルサイユ宮殿での特別展も記憶に新しい。これまで、1973年から2007年まで多摩美術大学で教鞭を執り、2000年代の数年間、東京藝術大学で客員教授を務めている。
就任予定年月日は2015年4月1日。就任後は現代美術に関する講演などを行う予定。未来の表現者を目指す学生たちにとって、芸術の可能性や意義について考える機会となることが期待されている。
就任にあたって李氏は「そもそも芸術らしきものは、日常や常識とは違う次元を示す出来事である。だから芸術家は、時には狂気じみたり魔がさしたり地獄を覗き込んで、現実に戻れなくなることもあるのだ。人々が芸術作品を見て、ぎょっとしたり面白がるのは、芸術家の見た異なった次元の世界に出会ったり、それを追体験するからに違いない。君もすごい芸術に出会ってみないか」とのコメントを発表している。
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