【ニュース】東京藝大、英仏米の芸術系大学と連携へ

2015年02月24日 11:56 カテゴリ:最新のニュース

 

「グローバルアート国際共同カリキュラム」構築の連結協定締結

世界トップレベルの芸術家育成目指す

 

(左から)マーク・ダンヒル氏、ニコラ・ブリオー氏、宮田亮平氏、ポール・コフィ氏

 

東京藝術大学は23日、海外3大学との「グローバルアート国際共同カリキュラム」(ジョイント・ディグリー)構築に向けた連結協定を締結、調印式を執り行った。同プログラムは文部科学省「国立大学改革プラン」を踏まえた、同大の機能強化・グローバル展開戦略の一環として実施されるものであり、海外から第一線級のアーティストをユニットとして誘致し、国際共同プロジェクトを実施するとともに、同大からも教員・学生を派遣し、世界トップレベルの芸術家の育成を目指すもの。

 

調印式ではロンドン芸術大学セントラル・セント・マーティン校(CSM)からマーク・ダンヒル氏(教養学部長、アーティスト)、グラハム・エラード氏(教授、アーティスト)、パリ国立高等美術学校(ENSB)から校長のニコラ・ブリオー氏(評論家、キュレーター)、ジャン=リュック・ヴィルムート氏(教授、アーティスト)、シカゴ美術館附属大学(SAIC)から副総長のポール・コフィ氏、ケイト・ツェラー氏(展示研究学部展示学部長、キュレーター)が来日。東京藝術大学からは宮田亮平学長のほか、保科豊己美術学部長、北郷悟理事などが出席した。

 

 

◆将来的な「ジョイント・ディグリー」目指し連携

今回締結されたプログラムでは連結大学が共同で授業科目を開設。各大学のカリキュラムにおける正規の授業科目として位置づけ、共同カリキュラムとして発展させること、また各大学はプロジェクトへの参加教員、アシスタント及び学生を選抜して派遣し、授業内容や履修指導、評価等について十分な意見交換を行ったうえで、授業・カリキュラム内容等を決定することなどが盛り込まれており、将来的なジョイント・ディグリーの成立を目指す。

 

具体的な内容として平成27年度については、5月にENSB、8月にCSM、その後にSAICの教員・学生ユニットが各々10名程度の規模で来日。藝大からもそれぞれ10名程度の教員・学生が選ばれ、ENSBとは「越後妻有トリエンナーレ2015」を、CSMとは「瀬戸内国際芸術祭会場栗林公園」を舞台に成果発表が行われる予定となっており、それぞれの国を行き来しながらリサーチやプランニングなどを重ねていく。またSAICとは9月以降、「国際フォーラム」の開催へ向けたカリキュラムが予定されている。なお平成28年度については藝大からユニットが派遣され、成果発表の場を海外へと移す。

 

今後は同カリキュラムを展開するため、平成28年度には新たな大学院組織「グローバルアートプラクティス専攻」(入学定員18名、うち留学生8名)を設置。油画・彫刻など既存の分野を横断して協働し、展示にとどまらず国際社会での実践を伴うアートプロジェクトへの参加などを目指していくほか、漆・和紙・木工など日本固有の材料技法を活かし、現代芸術への応用を行う「ジャパン・オリジナル」を創出するとしている。

 

 

■歴史を作るような人間を 

今回の締結に関し、宮田学長は「(今回の連携では)東京藝術大学がコアとなっている。お互いが“知り合う”というだけではなく、次のステップとして“形を創り上げる”ということをやっていきたい」と語り、渡邊健二理事は「芸術家や研究者といった既存の枠組みにとどまらず、社会との関係性の中で文化を創っていく人間。文化・芸術でより調和を持った世界を創っていけるような 人間を育てていかなくてはならない」とその抱負を述べた。

 

またプログラムの目標については「具体的な出口は示さない」としたものの、「歴史を作るような人間を作りたい」とし、かつてないプログラムへの強い意志を示した。

 

なお今後は「音楽表現」、「アニメーション」、「映画」の3分野についても美術同様に世界各国からユニットを誘致。東京藝術大学が一丸となって国際的なプレゼンスの確立を目指すという。

(取材・文/橋爪勇介)

 

【関連リンク】東京藝術大学

 


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