三重県四日市市に制作の拠点をおく内田鋼一(1969−)は、愛知県立瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科修了の後、量産型の製陶工場での勤務を経て、世界各国を旅しながら各地の窯業所を巡り、現地の土でやきものを制作し研究を重ね、22歳で作家として独立しました。
2000年「うつわをみる−暮らしに息づく 工芸−」展(東京国立近代美術館工芸館)へ出展、2003年には初個展「UCHIDA KOICHI」展(パラミタミュージアム・三重)を開催し、その後、ニューヨーク、ロンドン、オーストラリア、イタリアなど国内外で精力的に発表を続け、高い評価を得ています。
「作品を制作するにあたって土に向き不向きもない」と語る内田鋼一は、どんな土でもそれぞれの個性をいかす適材適所があるといいます。それは、積み重ねてきた経験と枠にはまらない感覚で素材を見極める作家の力量そのものです。現在も、海外でのワークショップなどで制作する時には、「日本から何も持っていかない」という内田の潔さは、作品そのものが体言しているかのようです。時にダイナミックな作品をも得意とする内田鋼一ですが、作品の大小、用の有無、土や鉄などの素材にかかわらず、空間を変容する程に、静かで一貫した存在感を放ちます。
本展では、樂翠亭美術館の土と落葉の灰によって制作した樂翠手茶碗の初お披露目となる茶室をはじめ、懐石のしつらえなど美術館全体が作家の手によりしつらえられます。また、富山ガラス工房の協力のもと内田鋼一によるガラス作品もあわせてご覧いただけます。
●展示室「蔵」 特別展示「内田鋼一の眼 −用からの彫刻−」
内田鋼一の審美眼によって収集された古い生活用具などを展示いたします。内田鋼一のイマジネーションの源泉を垣間みるように、味わいと深みのある表情と用からくる造形美をご高覧下さい。
●特別展示 井上有一の書
(いのうえ ゆういち):1916−’85東京生まれ。青山師範学校(現東京学芸大学)卒業後、小・中学校教員として定年退職まで勤務する傍ら、25歳から前衛書道の第一人者である上田桑鳩に師事し、書家として活動。文字が記号としての存在だけではなく、一つの芸術でもあることを実験的に一字書で発表し続け、その唯一無二の表現は海外でも高い評価を得ています。
【イベント】
◎夜間ライトアップ特別開館 限定「−K.Uchida’s BAR—」
5月14日(木)〜17日(日)
16:00〜21:00(最終入館およびラストオーダー20:30)
場所:樂翠亭美術館
参加費:入館料に含む(ドリンク料金は別途頂戴いたします)
◎アイザック文化支援事業「内田鋼一とゲストによるトークセッション」
パネリスト:千宗屋(武者小路千家15代目後嗣)、
内田恭子(キャスター)、内田鋼一(陶芸家) 敬称略
4月28日(火) 開場18:00 開演18:30
参加費:無料〈要事前予約〉 ※鑑賞券ご購入の方から優先で、先着順での受付となります。
詳しくはお問合せください。Tel.076−439−2200