VOCA展2015開幕 平面表現の多様性示す

2015年03月13日 18:13 カテゴリ:最新のニュース

 

(前列左から)小野耕石(VOCA賞)、岸幸太(VOCA奨励賞)、水野里奈(VOCA奨励賞)、松岡学(佳作賞)、松平莉奈(佳作賞)、川久保ジョイ(大原美術館賞)

 

1994年に始まり今年で22回目を迎えるVOCA展の授賞式と記者会見が13日、上野の森美術館で行われた。34人の推薦者により34人が出品する今回。VOCA賞には小野耕石氏、奨励賞に岸幸太、水野里奈の2氏、佳作賞に松岡学、松平莉奈の2氏、大原美術館賞に川久保ジョイ氏がそれぞれ選ばれた。

 

今回VOCA賞を受賞した小野氏は1979年生まれ。シルクスクリーンの技法を駆使しながら、積層する絵具が見る角度によって違う表情を見せる“立体的”ともいえる版画作品を制作してきた。今回の受賞作は75×90cmの作品を12点並べた《Hundred Layers of Colors》。会見では「今回賞をいただいて、いい意味でも悪い意味でも内輪的な版画の世界の人たちに少しでも良い影響を与えられたらなと思う。芸術の中では多様な表現があるが、僕は僕のやり方で、僕が提示できる最高のものを人前に提出することで、芸術の可能性を1%でも広げることができればいいと思う」と感想を語った。

 

小野耕石氏

小野耕石氏

 

また平面表現の中でも写真を専門とする川久保ジョイ氏は福島の帰宅困難区域で8×10のフィルムを地中に埋めて、光では感知されない何かを焼き付けるという異色の作品を出品。「ありがたく恐縮するとともに、同時に複雑な気持ちでもある」としながら、「もともと推薦頂いた横浜美術館の木村さんからVOCAという有意義ではあるが課題もあるシステムに一石投じることができないかということで作品を制作した。常に自分たちがいる社会、自分が作る作品、そしてアートとは何かということを考えながら制作を続けていくことが大切なのかなと思わされた機会だった」と述べた。

 

VOCA展2015は上野の森美術館で3月14日から30日まで開催。

 

(写真中央)川久保ジョイ氏による《千の太陽の光が一時に天空に輝きを放ったならば》

(左)加茂昂《世界を新しく美しいと思う。》
(中央)川久保ジョイ《千の太陽の光が一時に天空に輝きを放ったならば》
(右))長谷川由貴《悲しみの熱帯》

 

(左)本城直季《industry #1 2014》
(右)奥村雄樹《現代美術の展望はどこにある?》

 

(中央)水野里奈《みてもみきれない。》

 

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